前代未聞 強豪高校バスケ留学生選手が審判を殴り倒す

2018年06月18日 05:30

バスケット

 日本バスケットボール協会は17日、長崎県大村市内で行われた全九州高校大会の男子準決勝で、判定を不服とした延岡学園(宮崎)の留学生選手が試合中に審判員の顔面を殴打したと発表した。試合は没収試合となり、延岡学園は敗退した。日大アメリカンフットボール部の悪質タックル問題が日本中を震撼(しんかん)させた中、今度は全国大会優勝経験もある強豪校が前代未聞の暴力沙汰を起こした。
 またしても学生スポーツの試合中に信じられない光景が繰り広げられた。“事件”が起きたのは第4クオーターの残り1分。延岡学園の留学生選手が福岡大大濠の選手に仕掛けたピックアンドロール(相手をブロックする行為)がファウルの判定となったことが発端だった。

 判定に納得がいかなかったのか、無言で審判員に詰め寄ると突然、強烈な右ストレートを顔面に見舞った。身長2メートル近い留学生選手の一撃を食らった審判員はそのまま仰向けに転倒。口を10針縫うケガを負い、救急車で病院に運ばれた。コートには血が飛び散るなど、体育館は騒然となった。一部始終を目撃していた観戦者の一人は「バスケットボールは約20年見ているが、選手が審判に手を出すのは初めて見た。最初から殴ろうと思って近づいている感じで興奮していた。ファウルにいらいらしていた」と振り返った。

 伏線は殴打の1分前にあった。ルーズボールを巡る競り合いの中で、留学生選手は相手選手を後ろから倒したとしてファウルの判定を受けていた。そのときも不服そうな態度を示していたが、味方の選手に促される形で引き下がった。ただ、度重なるファウルの判定にフラストレーションはたまっていた様子。試合の動画はSNSなどを通じて一気にインターネット上で拡散し「審判を殴るのはあり得ない」「バスケットボールをする資格はない」などのコメントが相次いだ。

 宮崎県バスケットボール協会の北郷純一郎会長は「言語道断、あってはならないことであり、誠に遺憾。監督、選手に事情聴取の上、高校体育連盟と連携し、(対応を)判断していく」とコメントした。

 延岡学園は全国大会優勝経験もあり、これまでに多くのプロバスケットボール選手も輩出している。今夏の全国高校総体(インターハイ)出場も決めている全国屈指の強豪校だが、神聖なコートを暴力で汚してしまった責任は重い。

 <大村署が任意で聴取> 長崎県警大村署は、延岡学園の留学生選手と監督を任意で事情聴取した。同署によると選手は署内で審判員に謝罪したといい、審判員は「これからもバスケットボールを続けてほしい」との趣旨の言葉を掛けた。被害届は出さない方針という。

 ▼大沢孝征弁護士 バスケットボールの試合中に起きた出来事だが、接触などプレーでケガをさせたわけではない。スポーツの中で許される範囲を超えている。内容や傷の程度にもよるが(被害者の対応によっては)傷害事件として立件、捜査される可能性は十分ある。国外逃亡の恐れがあるとされれば、身柄拘束もあり得るだろう。

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