オールブラックス戦で感じたメンタル面の成長 イングランド戦は“脱エディー”のチャンス

2018年11月11日 11:00

ラグビー

オールブラックス戦で感じたメンタル面の成長 イングランド戦は“脱エディー”のチャンス
<日本・ニュージーランド>試合を終え、記念撮影する両チーム(撮影・吉田 剛) Photo By スポニチ
 オールブラックス戦に向けて原稿の準備をする中で、過去の対戦を報じる弊紙の古い紙面を検索し、原稿を読んだ。初対戦は第1回W杯が行われた後の1987年10月25日。翌26日の紙面には、当時24歳だったCTB平尾誠二さんのこんなコメントが載っている。
 「格がちがいます」

 12トライ、10ゴールを許し、0―74の零敗(当時は1トライ=4点)。中身も結果も完敗には間違いないだろう。一方、31年の時を経て、11月3日の対戦でも主力が抜けたオールブラックスに31―69と完敗した日本だが、戦前戦後を通じて、選手から弱気な発言は聞かれなかった。もちろん、当時の平尾さんが悪いと言いたいわけではない。着実に力を付け、強豪国との距離を縮め、とりわけ15年のW杯で日本ラグビー界全体が自信を付けたことが、選手たちのメンタルを強くしたと考えられる。

 通算6度目の対戦で最多の5トライを奪い、38点差は過去最少。前半には初めてリードも奪った。さまざまな史上初を生んだ先の対戦だが、そうした選手のメンタル以外の評価を定めるのは現状では難しい。アタック力は十分に通用したとも言えるし、ディフェンスもシステム上の大きなエラーはなかった。一方で密集での攻防戦、タックルの精度、そして攻防の転換が起きた時の反応スピードなど、まだまだ世界最強の背中が遠い面も多々あったからだ。

 17日に迎えるイングランド戦。敵将は言わずと知れたエディー・ジョーンズ前日本代表ヘッドコーチ(HC)だ。10日のオールブラックス戦に向けては、相手のハカに対して「試合前にスパイスガールズの曲でも流しておけばいい」などと発言し、相変わらずの口達者ぶりを発揮した。日本戦に向けてもおそらく、メディアを通じてプレッシャーを掛けてくるだろう。特にリーチ主将(東芝)、SH田中(パナソニック)、SO田村(キヤノン)ら15年W杯まで苦楽を共にした選手は性格まで知り尽くしている。試合では彼らの弱点を徹底的に付け込んでくるだろう。だからこそ、日本代表にとっても改めてメンタルの強さを試される好舞台となる。

 他でもない、ジェイミー・ジョセフ現HCにとっても、前任者の影を払しょくするチャンスと言える。何かにつけてわれわれメディアも比較するが、その度に過剰なまでの拒否反応を示してきたジョセフHC。イングランド相手に金星を挙げれば、もうエディーの影に気にする必要はない。過去2年、秋は日本国内で大敗し、渡欧後のテストマッチで結果も内容も大きく改善させた手腕にも期待したい。(阿部 令)

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