バスケのエースの見つけ方 キーワードは「USAGE・RATE」
2018年11月14日 14:34
バスケット
その指標になるのが「USAGE・RATE(ユーセージ・レート)」。「USAGE」には「利用」「使用法」「取り扱い」という意味があるが、バスケの世界でこの言葉を用いると「負担率」と言うとわかりやすいかもしれない。
何を負担しているのか?そこがポイントだ。そもそもバスケのエースが何をしているかと言えば、それは自チームのオフェンスの際、コートにいる他の4人よりも確実に多くのシュートを放っているはずだ。もちろんシュートに行く前にミスをして相手に攻撃権を渡してしまうこともあると思うが、それでも最後までその選手がボールを持っていたと見るなら、それは頼られている証拠。そしてこの論理で構築されたのが「負担率」だった。
公式を挙げておく。(1)まずその選手が実際にシュートを試みた回数(フィールドゴールの試投数)とフリースロー(FT)の回数を足そう(2)ただしほとんどの場合でFTは2本で1回の攻撃分なので本来なら2で割るべきだ(3)とは言っても3点シュートで反則をもらった際のFTは3回だし、テクニカル・ファウルやシュートを決めたときに反則をもらったケースでは1本なので必ずしも2で割った数字が攻撃機会の回数を意味することにはならない(4)なので便宜上、FT試投数に0・44という係数を掛け合わせることにしよう(5)そしてもうひとつ足さないといけないのはシュートする前にミスしてしまった回数。つまりターンオーバーだ。それは失敗とは言え、その選手が攻めていたことを証明する数字でもあるからだ。
さて(1)〜(5)の筋道を経て出てきた数字は分子に置く。そしてこの合計数を選手が出場していた時間帯でのチームの攻撃回数で割ってみよう。つまりこれが分母。するとここでその選手がどれくらいの割合でチームの攻撃を牛耳っていたかという数字がはじき出される。コートにいる5人が均等に攻めているなら各自20%になるはずだが、エースとか大黒柱が存在するチームではそうはならない。NBAの「負担率」で昨季リーグ1位だったのはロケッツのジェームズ・ハーデン(29)で36・3%。彼はロケッツの大黒柱であったのと同時に、シーズンのMVPにも選出されてしまった。
営業成績トップの社員がその会社のエースであるように、NBAでは負担率1位の選手がMVPとなっている。もちろんバスケはオフェンスだけがすべてではないが、チームの、そしてリーグの中心に誰がいるのかは他の競技に比べると数字で表現しやすいとも言える。
さてNBAの負担率部門で昨年まで14季連続でトップ10に入りながら、今季序盤で一時13位にまで落ち込んだ選手がいる。
それがキャバリアーズからレイカーズに移籍してきたレブロン・ジェームズ(33)。12月30日で34歳となる年齢を考えての“負担回避”なのか、はたまた若手の成長を促すための“業務削減”なのかはわからないが、ジェームズのこの部門での衰退ぶりはシーズン序盤での話題にもなった。
一方、1試合という単発ながら“ハーデン超え”を果たした若手もいる。
それはゴンザガ大に在籍している八村塁(3年)で、自己最多の33得点を24分という出場時間でマークしたアイダホ州立大戦(11月6日)での「負担率」は38%台。日本代表のエースでもある20歳の若者にとってこの程度の試練は許容範囲なのかもしれない。
さてあなたのチームの大黒柱っていったい誰?もしターンオーバー数や出場時間までわかるなら一度、計算してみてはいかがでしょう。もしかしたら意外な人物かもしれませんよ。
◆高柳 昌弥(たかやなぎ・まさや)1958年、北九州市出身。上智大卒。ゴルフ、プロ野球、五輪、NFL、NBAなどを担当。NFLスーパーボウルや、マイケル・ジョーダン全盛時のNBAファイナルなどを取材。50歳以上のシニア・バスケの全国大会には8年連続で出場。今年の東京マラソンは4時間39分で完走。
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