稀勢、休場で来場所進退必至 闘志は消えず「このまま終われない」

2018年11月16日 05:30

相撲

稀勢、休場で来場所進退必至 闘志は消えず「このまま終われない」
田子ノ浦部屋の前で今場所休場を決意し無念の表情の稀勢の里(撮影・中村 達也) Photo By スポニチ
 【大相撲九州場所 】 一人横綱の稀勢の里が「右膝挫傷捻挫で全治1カ月の休業加療を要する」との診断書を日本相撲協会に提出して休場した。初日の貴景勝戦で負傷し、4日目まで4連敗と不振を極めた。8場所連続休場から土俵に上がった秋場所は10勝を挙げたが、これで横綱在位11場所で9度目の休場(通算10度目)。来年初場所(1月13日初日、両国国技館)で再び進退が懸かるのは必至な情勢だ。横綱不在は今年名古屋場所以来で、昭和以降は6度目となった。
 福岡県大野城市の田子ノ浦部屋の朝稽古が終わった直後の午前8時、稀勢の里は着物姿で玄関から出てきた。「一人横綱として迎えた場所だったが、ファンの方には申し訳ないが休場することになった」。無念の思いを語ると悔しさが込み上げた。その目は幾分、潤んでいた。

 初日の貴景勝戦で右膝を負傷した。はたき込みで前のめりに倒れた際に右膝を打ちつけていた。「2日目以降、強行したが、なかなか本来の相撲には程遠く、休場となった」。2日目の妙義龍戦は右足をかばうように倒れ、3日目の北勝富士戦は右足を後ろに引いて左半身のままだった。横綱では87年ぶり、史上2度目となる初日からの4連敗を喫した4日目の夜、師匠の田子ノ浦親方(元幕内・隆の鶴)と話し合い、決断した。田子ノ浦親方によると「このままでは終われない。もう一回チャンスをもらいたい」と訴えたという。

 進退を懸けた秋場所は10勝を挙げた。場所後の横綱審議委員会では、北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)が「来場所以降に向けて復活の足場ができた」と及第点を与えた一方で「不安だという声はあった。(九州場所の)前半戦で負けが込んで休場となったら、何か考えないといけない」と話していた。不安は的中した。この日は「横綱の第一の条件である強さが満たされない状態が長期にわたっており、これを取り戻す気力と体力を持続できるか心配している」とのコメントを発表。場所後の横審では激励、注意、引退勧告のいずれかの決議がなされる可能性もある。

 完全に土俵際に追い込まれた稀勢の里の相撲人生。八角理事長(元横綱・北勝海)は「悪いところを治して、体をつくり直して頑張るというのが多くのファンの願い。開き直って稽古するしかない。番数を増やして自信を取り戻すこと」と指摘した。

 厳しい声が上がるのは、稀勢の里も理解している。「いい相撲を取っていきたい気持ちはある。また、しっかり考えていきたい」。悔しさをバネに横綱に上り詰めた男から闘志は消えていない。自分を信じ、再び逆境に立ち向かう。

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