錦織、日本人86年ぶり4強逃す ナダルにストレート負け 雷雨中断後も流れ変えられず
2019年06月05日 05:30
テニス
限界だった。3回戦は4時間26分を要し、4回戦は日没順延により2日がかり。日をまたいだ激戦のしわ寄せで、この日で3日連続の試合だった。4回戦までの合計試合時間は錦織が13時22分で、ナダルが9時間8分。錦織は第2セット後に右腕付近を気にして、トレーナーを呼ぶなど体は悲鳴を上げる寸前だった。「タンクに残っていた力は15とか20ぐらい。(ランキング上位選手とやる時は)毎回、体の限界がきている」。1月の全豪でも4回戦までに消耗戦を繰り返し、準々決勝のジョコビッチ戦は途中棄権。今大会前は省エネで“1週目”を乗り切ることを目標に掲げていたが、簡単ではなかった。
11度の優勝を誇るナダルとの対戦成績は2勝11敗。クレーでは5戦全敗で、うち4試合がストレート負けとなった。試合中は外国人の観客から日本語で何度も「ガンバレ」のコール。ここまで4試合中3試合は地元フランス勢との完全アウェーの戦いを強いられてきたが、この日は皮肉にもアンダードック効果で、より多くの声援を浴びた。
日本男子86年ぶりの4強進出を逃したが、昨年のウィンブルドン選手権からグランドスラム4大会連続で8強進出を果たした。錦織のほかにはナダルとジョコビッチ(セルビア)しか達成していない。「クレーの戦いでは今大会が一番よかった。調子はちょっとずつ上げていけたと思う。100%は納得できないが、テニスが良くなっているのは事実。フォア(ハンド)も良くなっていたし、クレーでのプレーの感覚は確実にこの2週間は良かった。ポジティブでいられる要素。次は芝ですけど、良い気分で入れる。しっかり休んでまた頑張りたい」。今回が37回目のグランドスラム出場。悲願の初優勝は、またもやお預けとなったが、表情は清々しかった。