遼、完全V 義母に手向けの16勝目、悲しみこらえ2戦連続制覇

2019年08月26日 05:30

ゴルフ

遼、完全V 義母に手向けの16勝目、悲しみこらえ2戦連続制覇
ウイニングパットを決めガッツポーズする石川遼(撮影・沢田 明徳) Photo By スポニチ
 【男子ゴルフツアー 長嶋茂雄招待セガサミー・カップ 最終日 ( 2019年8月25日    北海道 ザ・ノースカントリーGC=7178ヤード、パー72 )】 独首位から出た石川遼(27=CASIO)が5バーディー、1ボギーの68で回り、通算20アンダーまで伸ばして初日からのトップを守り、完全優勝を果たした。7月の日本プロ選手権に続く、自身初の2大会連続V。今季の獲得賞金は6255万8850円となり、11年9月以来となる賞金ランキング1位に浮上した。第1ラウンドのスタート前に闘病中だった義理の母が他界。欠場も考えた中で4日間、首位の座を譲らず、義母にささげる通算16勝目を手にした。
 50センチのウイニングパット。これを沈めると、硬い表情でそっと拳を握った。石川の頭に浮かんだのは、義理の母の姿。「きっとおかあさんは見てくれている」。22日のスタート前に、50代の若さで他界していた。悲しみを胸の奥に閉じ込め、誰にも言わず4日間を戦った。大切な人に勝利を報告したい――。その一心だった。

 「僕はゴルフはできない、と思っていた。混乱状態だった。妻が背中を押してくれて。自分の力だけでは勝てなかった。きっと、おかあさんが引き上げてくれたんだと思います」

 2位に3打差をつけスタート。1番はチップインバーディーで発進した。3番ではフェアウエーからの第2打を1Wで花道まで運んで、5番では2つ目のチップインでスコアを伸ばした。2位に4打差をつける圧勝。ラウンド中、不思議とゴルフだけに集中した。そんな自分が「ある意味、怖かった」と言った。

 高校時代から応援してくれた存在だった。「凄く健康で、元気で、明るいし、楽しい方」。しかし、約1年前に病が見つかった。がんだった。7月の日本プロ選手権。3年ぶりの復活優勝を飾ったとき、一時退院してテレビで応援してくれた。「遼くんも頑張っているから、私も頑張ろう」。病と闘う姿に、どれだけの勇気をもらったか。北海道入りする前、病院に会いに行った。「頑張ってきてね」と送り出してくれた。その言葉で、自らを奮い立たせた。

 さまざまな思いを抱えながらの自身初の2戦連続優勝。11年9月以来、約8年ぶりに賞金ランク1位に返り咲いた。世界ランクも178位から日本勢4番手の122位に上がる見込み。1年前にはなかった感情が、芽生えてきた。

 「世界ランクで(東京五輪出場権を得られる)日本人上位2枠に入ることを目指してやっていきたい。(松山)英樹も頑張っている。去年までは一緒に回るのも恥ずかしいと思っていたけど、正面からぶつかってみたい。そういう思いも湧いてきている」
 一度失いかけた自信を取り戻す、大きな1勝となった。次戦のRIZAP・KBCオーガスタの出場は未定。まずは大切な人に報告に行く。

 《ミスター絶賛「やはり何かを持っている」》大会名誉会長を務める巨人・長嶋茂雄終身名誉監督が石川の15回記念大会での勝利を称えた。「石川選手はセガサミーカップ初の複数回優勝で、しかも10回大会に続いての記念大会制覇。やはり、何かを持っている選手ですね。再び世界を舞台に戦う姿が、今から楽しみになってきました」とのコメントが発表された。石川は、「名前がついているだけでモチベーションも上がる。いつもこの大会を気に掛けてくださって、本当にありがたいです」と感謝していた。

 《青木会長も祝福》日本ゴルフツアー機構(JGTO)の青木功会長は「日本プロを勝って、1カ月半空いたにもかかわらず調子を維持した。大したもの。遼は自分のゴルフの組み立てがうまいね」と石川の2大会連続優勝を祝福した。連続優勝のツアー記録は、青木会長や尾崎将司らが達成した3試合。「記録は誰かが破るものだからね。意識しないでできたらいいんじゃないかな」と記録更新への期待を寄せていた。

 【勝者のクラブ】▼1W=キャロウェイ・エピックフラッシュ・トリプルダイヤモンド(ロフト角9・5度、シャフトの長さ45インチ、硬さTX)▼3W=同XR16スタンダード(13・5度)▼2I=同APEXプロ、3I=同XフォージドUT(21度)▼4I~PW=同APEX・MB▼ウエッジ=同Xフォージド(50度)、マックダディー2ツアーグラインド(58度)▼パター=オデッセイ・プロトタイプix♯9▼ボール=同クロムソフトX

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