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関学大 甲子園ボウル30度目V 今季限りで退任指揮官の花道飾った

2019年12月16日 05:30

アメフト

関学大 甲子園ボウル30度目V 今季限りで退任指揮官の花道飾った
<関学大・早大>甲子園ボウルを制し、トロフィーを掲げた鳥内監督(中央)と関学大の選手たち(撮影・山口 和洋) Photo By スポニチ
 【アメリカンフットボール 第74回甲子園ボウル   関学大38―28早大 ( 2019年12月15日    甲子園球場 )】 有終のV30だ。学生アメリカンフットボールの日本一を決める「第74回毎日甲子園ボウル」(本社後援)が15日、阪神甲子園球場であり、関学大(西日本代表)が早大(東日本代表)を38―28で撃破。2年連続30度目の優勝を飾った。今季限りで退任する鳥内秀晃監督(61)の花道を飾る逆転勝利。WR阿部拓朗(4年)が甲子園ボウルMVPに輝いた。関学大は来年1月3日、ライスボウルで社会人王者と真の日本一を争う。
 カウントダウンに感慨がこもった。学生日本一の歓喜と、去りゆく名将を惜しむ思いが聖地で交錯する。2年連続30度目の頂点。道筋をつけたWR阿部の手で、甲子園ボウルMVPのトロフィーが光を放っていた。

 「今季初めて、背中で見せるプレーができた」

 リーグ戦で精彩を欠いても、大一番で勝利に導くのが最上級生の使命だ。4点を追う第2Q4分56秒、8ヤードのTDパスをキャッチ。11分35秒にも、QB奥野とのホットラインでTDを奪った。レシーブ10度、135ヤード獲得の数字だけでは計れない。背番号81の圧倒的な存在感が、オフェンスに勇気を与えた。

 「シーズンの最初は考える余裕がなかったけど、監督を日本一にというみんなの気持ちが結果につながった」

 4年生が残す言葉の意味が重い。立命大の台頭で、聖地が遠ざかった90年代後半。鳥内監督が「個人面談」を始めたのは、最上級生をコーチ役にして、チームを強化するためだった。200人を超える部員全員と、時に1時間以上も話をする労力は計り知れない。阿部は最初の面談で、「君には期待してるよ」と声を掛けられた。

 男と男の約束。だから負傷が続き、なかなか力を発揮できない自分に腹が立った。「甲子園ボウルがラストチャンスだと思って…」。背水の思いは闘将の心も打った。「阿部?(下級生とは)執念がちゃいますわな」。どんな勲章もかなわない、一言だった。

 先取点を含む3本のFGを決めたK安藤の働きも見逃せない。神大戦(9月29日)でFGを失敗した後、指揮官から直接、言葉を掛けられた。「普通に蹴れよ」。たった一言に潜む信頼感を知り、パフォーマンスは安定した。

 指揮官のタクトも、ついにラスト1試合。「ライスボウル?まあ、いろいろ考えますわ」。昨年、開催の意義を問うた社会人王者との実力差は頭にない。28年間の集大成として、最後の奇跡を起こす。

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