追悼連載~「コービー激動の41年」その18 シャックとの出会いと苦難の門出
2020年03月05日 08:30
バスケット
当時オニール26歳でブライアントは18歳。これはすでに実績を残している先輩が、まだ何もチームに貢献していないのに注目を集める新人に対して「よっ、そこのルーキー。1点も取ってないのに人気だけはあるんだな」と、皮肉たっぷりに語ったとも受け取れる。
そして10月16日。コービーはカリフォルニア州フレズノで行われたプレシーズン初戦のマーベリックス戦に出場した。10得点&5リバウンド。上々の出来だった。その2日後、本拠地フォーラムでの第2戦には1万4000人のファンが集結。プレシーズン・ゲーム(オープン戦)としては異例の観客動員だった。相手は父ジョー・ブライアント氏の古巣でもある76ers。コービーはダンクを2発決め、チームも113―92で勝った。
ただし好事魔多し。76ersのセンター、ティム・ケンプトンと接触した際、コービーはフロアに腰からたたき落とされてしまったのである。ノートルダム大出身のケンプトンは208センチ、116キロのセンター。結局、開幕前にカットされたあとにスパーズに拾われる選手だが、18歳のコービーが空中での接触でバランスを維持するにはサイズが大きすぎた。フロアから立ち上がったものの足取りがおかしい。結局お尻が紫色になるほど腫れあがり「左大臀筋炎」と診断された。
レイカーズのユニフォームを着てたった2カ月で2度目の故障。当然のことながら「やっぱり大学に行くべきだった」という批判がわき起こった。レイカーズに所属していた同じフィラデルフィア出身のレギュラー、エディ・ジョーンズは「ときにはゴール下には近づかないほうがいい。自分をセーブしなければいけない時もある。スクリーンに立ってもひじ打ちをくらうと覚悟しなければならない。それがNBA。彼は若いしファンを驚かせるプレーを見せることを望んでいるが、もっと学んだほうがいいと思う」とメディアを通して忠告。コービーにとっては耳が痛くなるようなアドバイスだったことだろう。
このあと、デル・ハリス監督はプレシーズンの残り試合にコービーを出場させなかった。短期間に立て続けに故障したのでは、どんなに能力があってもチームの戦略や構想からは外れてしまう。11月1日、敵地アリゾナ州フェニックスで開幕戦(対サンズ)を迎えたが、背番号8がコートに立つことはなかった。
出番が巡ってきたのは3日に地元ロサンゼルスのホームアリーナ「フォーラム」で行われたティンバーウルブスとの第2戦で、18歳3カ月という当時の史上最年少記録を樹立してNBAにデビュー。だが高校時代に華々しい「記録」を打ち立てて注目を集めたコービーのプロ初戦はまさに「0」で始まる。そこにあったのはNBAの厳しい現実だった。(敬称略・続く)
◆高柳 昌弥(たかやなぎ・まさや)1958年、北九州市出身。上智大卒。ゴルフ、プロ野球、五輪、NFL、NBAなどを担当。NFLスーパーボウルや、マイケル・ジョーダン全盛時のNBAファイナルなどを取材。50歳以上のシニア・バスケの全国大会には一昨年まで8年連続で出場。フルマラソンの自己ベストは2013年東京マラソンの4時間16分。昨年の北九州マラソンは4時間47分で完走。
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