【荒磯親方 秋場所総括】無駄なかった正代 勢いあった翔猿 朝乃山は型にこだわれ

2020年09月29日 05:30

相撲

【荒磯親方 秋場所総括】無駄なかった正代 勢いあった翔猿 朝乃山は型にこだわれ
荒磯親方 Photo By スポニチ
 後半戦まで誰が優勝してもおかしくない展開でしたが、その中で正代は安定していました。最終的に実力者が優勝した感じです。新入幕の翔猿には勢いがありましたが、正代は地力の違いがはっきりしていました。
 自分の形が完成してきて、なおかつ重さを相手にぶつけられて出足も増していました。これまでのように長い相撲が少なく、4秒、5秒で勝負を決めていました。時間が速いだけでなく、左の体当たり、左のはずが強烈で、全ての動きに意味があると思える無駄のない相撲を取っていました。体は毎場所のように大きくなり、筋力トレーニングが合っていたのでしょう。自分に合ったものを意識して稽古していけば、強い大関が出てくるのではないでしょうか。

 朝乃山は大関としては満足していい星数ですが、両横綱がいない中での10勝は取りこぼしが多いと言えます。両横綱が復活してきた時、優勝を目指していくには一番の重みが物凄くかかってきます。取りこぼさないことを意識していくことが大事で、それができる素質もあります。右四つという型があるのですから、もっと型にこだわり、左上手を取ったらみんながざわつく力士になってほしいと思っています。

 休場明けで12勝の貴景勝は、万全ではない中で頑張りました。強い時の貴景勝に比べて物足りなく見える中でも工夫して取っていました。おそらく膝も痛かったのでしょうが、そういう顔も見せずにやり切ったのは、さすがです。3敗は勝負の流れもありました。ケガをしっかり治せば、また強い貴景勝が戻ってくるでしょう。

 優勝争いに加わった阿武咲は、先場所までと違って体が戻ってきたことで良くなりました。さらに力強さが出てくれば大化けするでしょう。若隆景は11勝を挙げましたが、後半に課題が出ました。立ち合いでかわしにいくところがあり、軽さが出てしまいました。厳しい右のおっつけがあり、前さばきもうまい力士なので、前への圧力が身に付けば、相手に恐怖心を与えられるようになるでしょう。(元横綱・稀勢の里)

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