【関西大学ラグビー開幕企画(3)】摂南大・ツイドラキ ジャッカルでつかめ!天国の父と同じ日本代表
2020年11月05日 05:30
ラグビー
19年W杯日本代表・姫野の得意プレーである「ジャッカル」は、ルールの厳格化により、守備側が適正にボールに絡んだ場合、昨年以上に発生するとみられる。タックルを受けた選手は、従来に増してすぐにボールを離す必要があるからだ。
大学留学でフィジーから来日した1メートル84、101キロの大男は「日本に来てからジャッカルが得意になった」と、ボール奪取に目覚めた。司令塔もキッカーもする生来のバックスながら、10月の交流戦でフランカーに回る場面があった。故障者に伴う措置にも「逆にうれしかった。コンタクトを頑張れる」と水を得た魚になった。瀬川智広新監督も守備力を高く評価している。
父・パティリアイさんを懐かしむラグビーファンは多いだろう。日本代表のWTBで99年W杯に出場。トヨタ自動車でも活躍した。
摂南大の次男は97年に日本で生まれ、母国に戻った02年に父は33歳で旅立った。急性心不全だった。幼かったため、父の記憶はほとんどないという。ただ、同じ道を進むにつれ、憧れが強くなった。
昨年、若手主体のジュニア・ジャパンに選ばれた。「お父さんと同じ桜のジャージーを着られた。天国から喜んでくれると思った」。昨季のチームは失点が多く7位。流れを変える「ジャッカル」と、変幻自在のオフロードパスが、亡き父へのいい報告につながる。
《同大・田中はチームで一番サボらない男》
大村湾に面する長崎県西彼杵郡時津町の出身。巨峰、みかんなどが特産品だ。町のキャッチコピーは「誰もが住みたくなる町へ」――。のどかな町に生まれ育った同大フランカー田中晴大郎(4年)は他大学からすれば「誰もが敵にしたくない男」に映るだろう。
長崎北陽台の出身で、サイズは1メートル80、96キロ。本職以外にロックやNo・8もこなす万能型だ。豊富な運動量で密集に素早く到達し、ボール争奪戦に激しく絡む。劣勢なら相手を押し込み、ボールが出るのを少しでも遅らせる。それが求められる役割だ。田中は「ジャッカルも得意なので、勢いがつくプレーがしたい。姫野選手のように」と腕をぶした。
かつて監督を務めた中尾晃副部長が「チームで一番サボらない男」と表現したように、献身的な働きと努力が認められ、ことし初めてAチームに昇格した。卒業後は大手銀行に就職する。楕円球と向き合う最後の1年。“姫野級”のインパクトでチームを加速させたい。
▽ジャッカル 味方のタックルで相手が倒れ、地面にボールを置くまでの一瞬の間に、ボールを奪ったり、「ノットリリースザボール」などの反則を奪うことを指す。倒れたり、膝を付いてボールに絡むことは禁じられ、強じんな下半身が要求される。相手が地面にボールを置いた後に奪いに行くと逆に反則を取られるため、瞬時の判断と素早い動きが要求される。
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