笹生 涙の全米女子OP制覇!奈紗とのプレーオフ制し19歳351日最年少V「信じられない」
2021年06月08日 05:30
ゴルフ
「夢は世界一になることと全米女子オープンで勝つこと。本当に今週できるなんて信じられない」。メジャー初の日本勢同士によるプレーオフの末、世界最高峰の大会を史上最年少で制した19歳は涙を拭った。
1打差の2位で出たが、2、3番の連続ダブルボギーで首位と5打差に。5番で最大6打差まで広がった。過去40年、最終日に複数回ダブルボギー以上を叩いた勝者はいない。
「動揺した。苦しいラウンドになると覚悟した」。しかしキャディーに「まだホールはある。自分を信じろ」と鼓舞され切り替えた。「短いパー5があるので何とかできると信じていた」。狙い通りパー5の16、17番で連続バーディーを奪い生き残った。
プレーオフ直前、腹痛に見舞われたが、バナナを頬張って臨んだ。合計スコアで争う2ホールをパーで切り抜け、サドンデスとなった3ホール目にバーディーで決着をつけた。
3歳上の畑岡は米国、笹生は日本を主戦場としているが、実はジュニア時代からのライバル。16年世界ジュニアで優勝をさらわれた。同年全米女子アマチュア準々決勝では1アップで勝利した。そして大舞台で歴史に残る激闘を演じた。
飛距離が最大の武器だ。平均飛距離262ヤードは日本ツアー1位を誇る。13歳の時、米国の試合で17歳の選手に約50ヤード後れを取り「来年は同じように飛ばせるようになりたい」と号泣した。足に2キロの重りをつけて100メートル、50メートルダッシュを各10本。反復横跳び30分。30キロのバーベルを担いでスクワット。独特のトレーニングで体を鍛えた。メジャー4勝の小柄な飛ばし屋ロリー・マキロイ(英国)の動画を見て軸のぶれないスイングを習得した。飛距離は1年で30~50ヤードずつ伸びた。築き上げた力強いスイングはオリンピック・クラブの深いラフも苦にしなかった。
日本とフィリピンの二重国籍を保持。東京五輪はフィリピン代表として戦い、将来的には日本国籍選択を視野に入れている。昨年の米ツアー出場予選会では落選したが、この優勝で5年間の出場資格を獲得した。「もっと上を目指してゴルフを頑張りたい」。大器は歩みを止めない。
《USGAは「朴仁妃と並ぶ」》笹生は19歳351日で、08年大会を制した朴仁妃の19歳353日より2日若い。大会を主催する米国ゴルフ協会(USGA)は笹生が19歳11カ月17日で朴仁妃と並ぶ最年少優勝としている。また、日数で計算すると笹生の7291日に対し、朴仁妃は7292日となる。
【笹生 優花(さそう・ゆうか)】
☆生年月日 2001年(平13)6月20日生まれ、東京都出身の19歳。
☆サイズ 1メートル66、63キロ。
☆家族 両親、妹と弟3人。日本とフィリピンで育ち、両方の国籍を持つ。国籍は22歳までに選択する必要があるが、東京五輪はフィリピン代表で出場し、その後、日本の国籍を選ぶ意向。
☆ゴルフ歴 8歳で始める。小3で金銭的にも練習環境のいい母の故郷フィリピンへ。14歳でフィリピンのプロツアー優勝。18年にフィリピン代表として出場したアジア大会で個人・団体ともに金メダル。19年のオーガスタ女子アマは3位。
☆プロ転向 19年のプロテスト18位。昨年1月に入会。8月のNEC軽井沢72で国内ツアー初優勝を果たすと、ニトリ・レディースで2大会連続優勝。
☆巨人の星 子供の頃から毎日、朝5時から練習を始めてボクシングのミット打ちなど父・正和さんと2人で鍛え、小3で70ヤードの飛距離。飛距離は1年で30ヤード、13歳からは50ヤードずつ伸び、現在の平均は262ヤード。
☆好きな選手 ロリー・マキロイとタイガー・ウッズ。
☆「女ウッズ」 NEC軽井沢72で最終日に同組で回った藤田さいきの「タイガー・ウッズさんと回ってるみたい」という言葉と、その日のウエアが赤のシャツと黒のパンツだったことから呼ばれるように。
☆好きなこと 一番は寝ることとゴロゴロすること。次に家族での卓球や釣り。
☆好きな食べ物 毎日食べたいものはカレー。年に一度のぜいたくはしゃぶしゃぶ。母が作ったフィリピン料理のアドボ(酢につけ込んだ肉の煮こみ)とシニガン(酸味のある果実を使ったスープ)も好物。
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