競泳・萩野が現役引退 「一番幸せだった」東京五輪で完全燃焼 今後は大学院進学などを検討
2021年08月25日 05:30
競泳
東京五輪の200メートル個人メドレー決勝が最後のレースとなった。ライバル瀬戸大也(27=TEAM DAIYA)と一緒に泳ぎ6位入賞。3大会連続の表彰台を逃したが「一番幸せなオリンピックだった」と満足感を口にし「ひとまずは、というところがある」と、競技人生に区切りをつける可能性を示唆していた。
幼少期から「怪物」と騒がれ、栃木・作新学院高3年だった12年ロンドン五輪に初出場。400メートル個人メドレーで銅メダルを獲得し、男子個人メドレー種目で日本人で初めて表彰台に立った。16年リオ五輪は400メートル個人メドレーで金、200メートル個人メドレーで銀、800メートルリレーで銅と金銀銅をコンプリート。13年日本選手権5冠、14年仁川アジア大会は4冠など複数種目をこなす万能スイマーとして活躍した。
15年6月に骨折した右肘をリオ五輪後に手術したことを機に、記録が伸び悩んだ。17年にはプロ転向。ブリヂストンと推定年俸最大1億円の所属契約を締結したが、長い不振に陥った。19年はモチベーション低下を理由に約3カ月休養。丸刈りにして欧州を放浪した。自身と向き合うことで「やっぱり水泳が好き」と再確認。懸命に持ち直し、1年延期となった東京五輪の代表に滑り込んだ。200メートル個人メドレーは準決勝突破で号泣。決勝を「神様からの贈り物」と表現していた。
一時は結果だけを求め「メダルを獲らないと意味がない」との意識があったが、休養後は心境が変化。「引退した方がいいと思うことも、いっぱいあった。でも、つまずいても立ち上がって、また前を向いて頑張る。そういうことも大事なのかなと」と競技に向き合う姿勢や過程を重視するようになった。不器用がゆえに「人生へたくそだな」と思い詰めることも多かったが、東京五輪では全力を出し切り完全燃焼。「支えてくれた人に感謝し、僕自身にも“ありがとう”と言いたい」と思い残すことはなかった。
◇萩野 公介(はぎの・こうすけ)1994年(平6)8月15日生まれ、栃木県小山市出身の27歳。生後5カ月でベビースイミングを始める。栃木・作新学院高―東洋大―ブリヂストン。五輪は12年ロンドンで400メートル個人メドレー銅、16年リオデジャネイロでは400メートル個人メドレー金、同200メートルで銀、800メートルリレーで銅と計4つのメダルを獲得。世界選手権は2度出場して銀メダル3つを獲得した。400メートル自由形、200、400メートル個人メドレーと3種目で日本記録を保持。1メートル78、74キロ。19年にシンガー・ソングライターのmiwaと結婚、1児の父。
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