杉浦佳子 日本人最年長50歳で「金」 自転車個人ロードタイムトライアル

2021年09月01日 05:30

五輪

杉浦佳子 日本人最年長50歳で「金」 自転車個人ロードタイムトライアル
金メダルを獲得し、笑顔の杉浦佳子 Photo By 共同
 【東京パラリンピック第8日 自転車女子個人ロードタイムトライアル(運動機能障がいC1~3) ( 2021年8月31日    富士スピードウェイ )】 自転車女子個人ロードタイムトライアル(運動機能障がいC1~3)で、50歳の杉浦佳子(楽天ソシオビジネス)が日本人最年長の金メダルに輝いた。自転車事故による障がいを乗り越えて初出場で頂点に立ち、46歳で96年アトランタ大会柔道71キロ級を制した牛窪多喜男を上回った。
 「アラフィフの星」が頂点に立った。富士スピードウェイの急カーブや勾配のある8キロを2周。杉浦は過去に日本選手権などで走った経験を生かし「計画通り」に攻めた。1周目は出場15選手中、唯一の12分台。「後半は垂れた(ペースが落ちた)ので金メダルは駄目だったかな」と思ったというが、最終ストレートは「最後の頑張りどころ」と加速してゴールを駆け抜けた。

 「競技を続けてきてよかった。ホッとしている。お世話になった方に恩返しができた」

 16年4月の自転車レースで転倒し、頭蓋骨の粉砕骨折、くも膜下出血などで、一時は生死の境をさまよった。パラ競技に転向し、17年世界選手権優勝など実績を積んだが、昨年はコロナ禍で「精神的にぼろぼろになった。自転車から離れた時期もあった」と体調面の懸念から引退も考えた。右半身にまひがある杉浦は左脚に「6~8割」の力を乗せるため、かかる負担も大きい。今年5月には左股関節唇の損傷が判明。動かすだけで激痛を伴い、一時は歩行も困難なほどだった。それでも「神が与えた試練」と受け止め、痛み止めを打ちながら走り込みで心肺機能を強化。この日は「(薬の効果が)切れかかっていた」という中、気迫で走り切った。

 従来の記録を4歳も塗り替える50歳でのパラ日本人最年長金メダル。「最年長記録なんて恥ずかしい」とおどけたが「最年少記録は更新できないけど、最年長はまた更新できる」と、さらなる挑戦への意欲を見せた。事故の後遺症で脳にも記憶障がいが残り、同じ人に何回も「初めまして」とあいさつすることもあるというが、栄光の記憶は深く脳裏に刻まれたに違いない。

 ◇杉浦 佳子(すぎうら・けいこ)1970年(昭45)12月26日生まれ、静岡県出身の50歳。北里大卒業後に薬剤師として勤務し、趣味でトライアスロンを楽しむ中で自転車レースで転倒。リハビリの一環だった自転車競技に取り組み始めた。個人ロードタイムトライアルで17年世界選手権を制し、19年はロードレースと2種目で2位。

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