五輪で人気急上昇のスケートボード 堀米雄斗が体現する真髄と魅力
2021年09月15日 09:15
スケートボード
そもそも「ビデオパート」と呼ばれるスケートボード特有の文化があることで、大会自体を重要視しない一流のスケーターもいる。その中で堀米は早い段階で五輪の出場を視野に入れ「今まで知らなかった人たちがスケートボードを知ってくれるので、もっと良い環境が日本にできれば」と青写真を描いていた。拠点とする米国では五輪前からメジャーリーグの大谷翔平に匹敵する認知度を持っていた堀米だが、大会後は“逆輸入”のように日本でも名を馳せた。そして堀米が思い描いた通り、日本代表の活躍でスケートボードを始める子供たちが増え、比例してスケートパーク施設も各地に増え始めている。米国、ブラジルと3強の一角ながら環境面では“スケートボード後進国”の日本においても、五輪の影響力はやはり絶大だった。
少なくとも本場・米国で開催される28年ロサンゼルス大会まで五輪でスケートボードが行われることは確実だが、先述した「ビデオパート」にも注目して欲しい。ビデオパートとは街中の階段や手すり、縁石などでさまざまなトリック(技)を決め、音楽や撮影方法、カット割りまでスケーターのスタイルが詰め込まれた映像のこと。スケートボードの世界ではこの映像で認められることがプロになる上での絶対条件。関係者や経験者が「スケートボードは映像が進化させた」「コンテスト(大会)だけ勝っても格好良くない」と語るほど、ほぼ全てのスケーターが力を注いでいる重要な活動だ。
幼少期からビデオパートを食い入るように見て成長した堀米は、今年6月に1年かけて撮影したパートをリリースしている。父・亮太さんは五輪前のタイミングで映像を出した息子の行動をこう代弁する。「特にストリートでは、コンテストだけのスケーターは認められないというメッセージもあったと思う」。絶対王者のナイジャ・ヒューストンは数年おきに驚異的な映像を出しながら、SLSでも勝ち続けてきた。堀米も今回、映像を出した直後の東京五輪で名だたるライバルを下して頂点に立った。それでも長年、映像と大会を高いレベルで両立してきたナイジャやプロスケーターのシェーン・オニールより「上」に立てたとは思っていないはずだ。
五輪で人気を博したスケートボード。今後「やる側」の普及には競技者のマナーや周囲の理解が課題となりそうだが、「見る側」としては日本になじみのあるスポーツと異なる文化的側面に、まだまだ見どころとなる面白さと魅力が詰まっている。 (記者コラム・鳥原 有華)
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