羽生結弦27歳に 試練越えて光を
2021年12月07日 05:30
フィギュアスケート
26歳の初戦として、20年12月の全日本選手権に出場。新型コロナウイルスの影響から、20―21年シーズンのグランプリ(GP)シリーズを欠場した羽生にとって、同シーズンの初戦でもあった。
「僕が出ていいものか、葛藤があった」と明かして立った、国内最高峰の舞台。暗く沈む世界を明るく照らすため、SPはロックの「レット・ミー・エンターテイン・ユー」を選択した。激しく舞って首位発進すると、フリーは「天と地と」。戦国武将・上杉謙信を演じ、5年ぶりに国内を制圧した。
21年3月の世界選手権は、自身7度目の表彰台となる銅メダルを獲得。競技を終えると「アクセルが跳べないと満足できないので、一生」と人類初成功を目指すクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)への熱い思いを口にした。4月、世界国別対抗戦のエキシビジョンに向けた公式練習では4回転半にアタック。成功はなかったが、何度氷に叩きつけられても立ち上がった。
7月1日、スケートのシーズンは切り替わり、21―22年の闘いが本格化する。夏のアイスショーでも「必ず今シーズンで4回転半を決めるんだという強い意志はある」と話した。GPシリーズに向けたコメントでも「自分の一番の目標は4回転半を成功させたいということ」としていた。
超大技の完成を見据えていたが、11月に悔しさを抱えて決断を下した。
「右足関節靱帯損傷」のためNHK杯を欠場。回復が遅れ、ロシア杯にも出場できなかった。11月17日、日本スケート連盟を通じて発表したコメントには、こう記されていた。
「応援してくださり、本当にありがとうございます。応援の声や想いに応えられるよう、全力で頑張っています。動きによっては痛みが出てしまいますが、日常生活では、痛みの影響がなくなってきました。まだスタートラインにはたどり着いていませんが、着実に前に進んでいきます。これからも、よろしくお願いいたします。がんばります」
この言葉から時は流れ、羽生は1つ年を重ねた。
勝負のリンクへの帰還は、いつか。心身との対話の先に、答えは導かれる。不屈の27歳。コンディションが整い、4回転半の夢に挑める「いつか」を、世界は待っている。(大和弘明 杉本亮輔)
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