羽生SP8位「氷に嫌われちゃった…」フリーで挽回へ4A挑む…「神のみぞ知る」世界へ
2022年02月09日 05:30
フィギュアスケート
冒頭でアクシデントに見舞われた。予定していた4回転サルコーは、踏み切った後、体の回転をほどき、まさかの1回転。「完璧なフォームで完璧なタイミングでいったら、トージャンプの穴だった。頭が体のことを防衛してしまった」。19年世界選手権でも失敗が出た鬼門のジャンプ。当時は自らが直前の6分間練習で跳んだ跡にはまった。その反省を生かし、6分間練習で跳ぶ位置をずらしたが、それでも穴があった。出来栄え点を含めて13~14点台が見込める技がSPの必須要素を満たせずに0点。「嫌われることしたかなぁ。氷に嫌われちゃったな」と首をかしげた。
優雅に舞ったピアノ曲「序奏とロンド・カプリチオーソ」。1つのミスが際立つのは、他の要素が完璧だったから。4回転―3回転の連続トーループで出来栄え評価(GOE)で4.07点の加点がついた。連続ジャンプで4点台がつくのは羽生だけだった。スピン、ステップも当然のように最高レベル4でそろえ、後半のトリプルアクセルも完璧。1要素抜きでの95点という評価に「凄くありがたい。他の質が高くできたのは、自分を褒めたい」と話した。
準備に後悔はない。昨年12月の全日本選手権を終え「やれることは多分アクセルぐらい」と言った。超大技の4回転半を猛練習。SPも「凄く愛情を持って」滑ってきた。SP2日前の6日に北京入り。今大会が今季の国際大会初戦ではあったが、2日前の現地入りは短期集中のごく自然なルーティンだった。
現在の採点方式となった五輪での男子の逆転優勝は、SP2位から0.55点差をひっくり返したライサチェク(米国)のみ。3連覇に限れば厳しい戦いとなるが、最大の夢である大技4回転半を国際舞台で初投入するフリーが待つ。「(4回転半が)自分にとって難しいのは分かっている。全てに集中しないといけない。引き続き、全てのことに自分のベストを尽くしていきたい」。打ちのめされても、まだ、羽生が立ち上がる理由がある。
SP7位の17歳が銅メダルへと滑り込んだ12年世界選手権。SP5位から10.66点差の大逆転劇を演じた17年世界選手権。語り草となる五輪以外の伝説は、フリーから生まれた。次は五輪で新伝説を――。積み重ねた努力は、誰もが知っている。あとは「神のみぞ知る」。10日のフリーに全身全霊を注ぐ。
▽クワッドアクセル(4回転半) 6種類の4回転の中で唯一、成功者がいないジャンプ。国際スケート連盟が定める基礎点は最高の12.50点で、ルール改正により17~18年シーズンまでの15.00点から下がったが、ルッツの11.50点より1点高い。左足で前向きに踏み切るため、後ろ向きで踏み切る他のジャンプより半回転多い。羽生は昨年12月の全日本選手権のフリーで初めて試合で挑み、両足着氷で成功はならなかった。
《予定構成表の1番目に》10日の男子フリーのスタートリストが発表され、SP8位の羽生の予定構成表の1番目のジャンプに、クワッドアクセル(4回転半ジャンプ)を示す「4A」の文字が記された。4回転サルコーから続く3番目には3回転半―3回転ループを投入。昨年12月の全日本選手権では2回転トーループだった後半を3回転ループに変更して基礎点が上がった。
《過去2回1位から逃げ切り》羽生は連覇を達成した14年ソチ大会、18年平昌大会ともSP1位から逃げ切っており、逆転を狙うのは3度目の五輪で初めてになる。SPとフリーの2部構成になった92年アルベールビル大会以降8大会の男女シングルで、SP下位からの最大逆転は02年ソルトレークシティー大会女子のヒューズ(米国)で4位から。羽生自身は17年ヘルシンキ世界選手権で、SP1位と10.66点差の5位からフリーで当時の世界最高得点をマークして逆転優勝を飾っている。
おすすめテーマ
2022年02月09日のニュース
特集
スポーツのランキング
-
羽生結弦、10日フリーは全日本からジャンプ基礎点4点アップ 3回転半―3回転ループ投入予定
-
スノボ平野兄弟&冨田姉妹がそろって決勝進出 五輪ハーフパイプW同時表彰台の快挙に期待
-
松山英樹、畑岡奈紗らが強化指定選手 日本ゴルフ協会が男女各8人を発表
-
大関・正代ら新たに新型コロナ感染 初場所後の累計では252人に
-
スノボ男子HP・平野海祝 兄・歩夢とともに決勝進出「やっとここまで兄弟で来れた…すごく嬉しい」
-
平昌五輪銅メダルのジェームズが平野歩夢に次ぐ予選2位 専用パイプで技を磨く
-
平野歩夢が狙い通りの全体1位で決勝進出 大技解禁へ「みんなやってくる。完成度を極めたい」
-
五輪3度王者ショーン・ホワイト決勝進出 1回目転倒も、2回目でダブルマックツイスト成功
-
スノボ男子HP・平野海祝 兄・歩夢とともに兄弟で決勝進出 メダル獲得へ
-
スノボ男子HP・戸塚優斗が全体6位で決勝進出 平昌五輪の雪辱へ「滑り切ることをまず目標に」
-
スノボ男子HP・平野流佳が全体3位で決勝進出 「ルーティンを決めて金メダルを獲りたい」と意気込み
-
スノボ男子HP・平野歩夢がトップ通過で圧巻の決勝進出 「トリプルコーク1440」封印し、11日決勝へ
-
快進撃を続けるサンズが54戦で44勝目 ペイサーズはサボニスをキングスへトレード
-
平野歩夢 予選から平昌銀の「ダブルコーク1440」連続技で93・25点の高得点
-
鍵山優真「バッチリです。今日は体が軽かった」 SP2位から好感触でフリーへ
-
宇野昌磨 フリーへ「頑張ります」 公式練習で4回転―3回転の連続トーループ着氷
-
ジャンプ混合団体・佐藤幸椰 失意の高梨沙羅へ「スキージャンプには今もこれからもあなたが必要」
-
1回転半から140年…羽生結弦、10日フリーで4回転半初成功を
-
羽生結弦、闘志全開の40分 2月9日公式練習ドキュメント
-
スノボHP日本女子も凄いぞ!17歳小野光希が2位で決勝へ 北京五輪
-
羽生結弦、4回転半を入念に調整「明日、頑張ります!」10日に逆襲のフリー
-
ベンガルズがロサンゼルスに到着 ラムズは移動不要 スーパーボウルまであと5日
-
スノボ女子ハーフパイプ・冨田せな 妹・るきと姉妹で決勝進出
-
スノボ女子・小野光希 予選2位で決勝へ 冨田せなは全体5位、妹・るきは6位で進出
-
北京五輪 監視緩むクローズドループの境界線
-
ウィザーズのビールが左手首を手術へ 今季の出場は絶望 チームに大打撃
-
坂本花織と樋口新葉が本番リンクで調整 15日に女子SP、17日にフリー
-
フィギュアスケート界の“レジェンド”山下艶子さん 天国から見守る北京五輪
-
米国で北京五輪の視聴者数が激減 平昌五輪と比べて54%も減少 冬季五輪最少数
-
<羽生結弦を語ろう(7)>俳優・石坂浩二「上杉謙信が目指した精神表現」「見るたびに完成度が上がる」
-
羽生SP8位「氷に嫌われちゃった…」フリーで挽回へ4A挑む…「神のみぞ知る」世界へ
-
羽生4回転サルコー「“なんか、あったな”みたいな。自分の感覚の中でミスではない」
-
羽生憧れの“皇帝”プルシェンコ氏がエール「自由で自信に満ちたスケートができることを祈っています」
-
羽生SP8位に海外メディアも驚き…英国「ショック」中国「後悔残さないで!」
-
チェン 世界新でSP首位発進 羽生結弦への敬意も口に
-
鍵山SP2位 ノーミスで自己最高更新!“父子鷹”正和コーチとの夢結実へフリーで「全力尽くしたい」
-
宇野「驚き」自己ベストでSP3位 4回転―3回転で手をついたけど「価値あるジャンプ」コーチ称賛
-
沙羅「みんなの人生変えてしまった」ジャンプ混合団体失格から一夜、インスタで悲壮な胸の内つづる
-
ジャンプ混合団体失格続出に各国批判「女子ジャンプを台なしにした」「ジャンプ界にとって暗黒の日」
-
ジャンプ男子NH制覇の陵侑 師匠・葛西監督との約束果たし「金メダルは重たい」
-
スマイルジャパン 悲願メダルへ1次L首位通過!激闘ペナルティーショット戦でチェコ撃破
-
若林クリス氏 サイドチェンジで攻めたいスマイルジャパン 準々決勝は選手起用と志賀紅の“1本”がカギ
-
女子アイスホッケー“未来”のために決勝Tでも勝利を!
-
36歳・竹内 6度目五輪舞台は15位終戦…“不運”走路妨害判定も「99%最高に楽しかった」
-
三木 初の五輪は「悔しい」転倒で途中棄権、9位 4年後の雪辱期す
-
美帆「昨日より晴れやか」銀メダル当日は悔しさいっぱいも「後悔はない」
-
一戸 男子1500メートル10位に「惨敗。ベストのレースをしても43秒台を出せない」
-
歩夢 予選から超大技解禁も視野に1位通過狙う「機会があれば出したい」別の新技投入も
-
中井孝治氏 歩夢が2度成功した「トリプルコーク1440」ライバル勢はどこで繰り出してくるか
-
暁斗 公式練習で「最悪の状態からは一歩脱した」も「こんなんで大丈夫かな」
-
森敏氏 暁斗の高い踏み切りが高地のジャンプ台にハマるかもしれない
-
ホテル内監視!? ゾッとして鳥肌も震えてカロリー消費
-
北京パラ選手団1次発表 25選手代表決定 村岡桃佳が主将
-
現役復帰表明の大迫 28年ロサンゼルス五輪「狙えるような準備を」
-
ブダペスト世界水泳選考大会決定 飛び込み10日から&競泳3月2日から
-
レギュラーの部は下岡、レディースの部は町田が優勝