国際パラリンピック委員会 ロシア勢に“重複制裁”

2022年03月03日 05:30

五輪

国際パラリンピック委員会 ロシア勢に“重複制裁”
会見するパーソンズ会長(AP) Photo By AP
 国際パラリンピック委員会(IPC)は2日に理事会を開き、ロシアとベラルーシの選手に対し、国名などを使用しない「中立選手」として4日開幕の北京パラリンピックへ個人資格で参加を認めると発表した。ロシア選手は国ぐるみのドーピング違反で既に「ロシア・パラリンピック委員会(RPC)」としての参加が決まっており、事実上の制裁なしとなった。両国はパラリンピック旗の下で競技し、選手にメダルは授与されるが、メダルランキングには含まれず、ユニホームなどのRPCマークやベラルーシ国旗を隠す必要がある。
 IPCは休戦協定を破ったロシアとベラルーシの政府に非難の意を表明し、当面は両国で全ての大会を開催しないほか、ロシアのプーチン大統領に授与された功労章「パラリンピック・オーダー」の撤回も決めた。会見したパーソンズ会長は「パラリンピック憲章と現行のIPC規定で下すことができる最も厳しい制裁」と説明。両国の一部選手は既に北京入りしており、開幕直前の除外によるスポーツ仲裁裁判所(CAS)への提訴などのリスク回避を優先した形となった。

 国際オリンピック委員会(IOC)は両国について選手や役員を国際大会から除外するように勧告。時間的な問題で不可能な場合は「中立」での参加もやむなしとしていたが、肝心のバッハ会長は北京パラリンピックには出席しない。大会からの除外を求めていた米国やカナダ、ドイツなど各国・地域は決定に反発しており、両国との対戦を拒否する選手が出る可能性もある。IPCによると、ロシア勢は約70選手、ベラルーシは約10選手がエントリーしている。

 ≪「再考を」「深く失望した」各国から反発相次ぐ≫IPCの決定に反発が相次いだ。英国のドリス文化相は「間違った決定だ。すぐ再考するように呼び掛ける」と声明を発表。米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)のハーシュランドCEOは「休戦協定と無意味な戦争の犠牲者を無視するロシアを認めたことに深く失望している」とし、日本パラリンピック委員会(JPC)の森和之会長も理解を示す一方で「決定を全面的に支持しているわけではない」と異例のコメントを出した。

 ≪聖火リレー出発式も盛り上がりに欠け…≫北京冬季パラリンピックの聖火リレー出発式が2日、北京市の観光名所、天壇公園で開かれた。万里の長城などで「採火式」が行われ、天壇公園で各所の炎を一つにする「集火式」を実施。リレーは五輪同様に3日間、競技会場のある3地域で行い、全国巡回はしない。新型コロナウイルス対策として、沿道などでの一般市民の観覧は制限。中国では冬季パラへの関心は従来高くなく、盛り上がりに欠けている。リレーに一般市民を近づけない実施形式には、抗議活動などを防ぐ当局の狙いもありそうだ。

 ≪北京に到着のウクライナ選手団「大変な道のり」≫北京冬季パラリンピックに出場するウクライナの選手団が2日、北京に到着した。ウクライナ・パラリンピック委員会(UPC)の広報責任者が「北京に到着したところだ」とメールで明らかにした。「とても大変な道のりで、我々は本当に疲れている」ともコメントした。UPCは全20選手が参加することを1日にツイッターで表明した。ノルディックスキー距離とバイアスロンの2競技に出場予定となっている。

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