ラグビー日本代表 15年W杯「ブライトンの奇跡」 HCの指示を聞かなかったリーチ主将の“代償”とは…
2022年03月06日 18:20
ラグビー
当時、W杯24戦1勝とラグビー弱小国とだった日本は、イングランド大会の初戦でW杯優勝2回の優勝候補・南アフリカと激突。リーチは「お客さんは99%、日本は負けると思って会場に来てたと思います。自分たちは完全にアウェーで負けて当たり前な感じです」と、それだけ圧倒的な力の差があると考えられていたと説明した。
試合は日本が先制するも相手の圧倒的なパワーを生かしたモール(※選手同士が密集しながら力で押す戦術)の前に次々と失点。この時を振り返りリーチは「実際モールのプレッシャーがすごくて、やっぱ強ぇなと感じました。1回もモールのディフェンスができてなかったと思います。これはピンチだという状況でした」とコメント。
それでも日本はエディー・ジョーンズHCのもと徹底強化してきたスタミナとメンタルで必死に食らいつき、29―32となって試合時間は残りわずかに。ここで南アフリカに反則があり、日本はキック(3点)で同点を狙うか、トライ(5点)で逆転を狙うか“究極の選択”を迫られることになった。
エディーHCの指示は「キックで同点を狙え」というものだったが、リーチは「エディーHCの指示通りにやらなかったのは、その時が初めてです。普通は同点を狙う。でも、相手の表情も見て自分たちの勢いを信じてトライを取りに行った」と主将として、あくまでトライで逆転勝利を目指すことを選択。五郎丸も「同点では満足できない自分たちがいました。それぐらい4年間、芯を持ってやってきたし『全員が全員スクラムだ』という思いだったと思います」と選手の思いはひとつだったとした。
さらにリーチと五郎丸はスクラムを選択した理由について29―29の後半32分、南アフリカがペナルティーゴールを決めたことを指摘。リーチはこのプレーに対し「これは完全にビビったってことです。南アフリカみたいなデカいチームならタッチかスクラム組んで攻めてトライすればよかったのに」と答えると、五郎丸は「単純に(相手が)逃げたなと思いましたね。自分たちがイメージしてる南アフリカの屈強な男たちが取る選択肢ではない」と試合がまだ残り10分もあるのに格下相手にトライを狙わず、キックで確実な勝ち越し狙った姿を見て“相手は自分たちを恐れている”と感じたことが大きかったと説明。
そして“世紀の逆転トライ”が生まれ日本が南アフリカに34―32で勝利。この勝利は世界中のラグビーファンを驚かせ、日本でも一躍ラグビーブームが到来するほど盛り上がりを見せた。
ただその裏でリーチだけは手放しで喜べなかったもよう。「エディーHCはすごい色んな選手にめちゃくちゃ嬉しそうな顔をしてたけど、俺にはめちゃくちゃ厳しい顔された。『3日後に試合あるから準備しろって』言われて、よくやったなとか全く褒めてくれなかった」と初めて指示に従わなかった“代償”を払うことになったというオチが最後に待っていたと笑いながら話した。
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