二所ノ関親方が春場所総括 若隆景、押し上げが初Vへ押し上げた

2022年03月29日 05:30

相撲

二所ノ関親方が春場所総括 若隆景、押し上げが初Vへ押し上げた
二所ノ関親方 Photo By スポニチ
 横綱・照ノ富士が途中休場した春場所は、終盤で混戦に拍車がかかった。千秋楽は2敗で並んだ2人がともに負け、決定戦となる波乱の展開。土俵際の逆転で若隆景(27=荒汐部屋)が双葉山以来86年ぶりの新関脇優勝を果たした。次の大関候補に躍り出た若隆景の強さと、昇進の可能性は?本紙評論家の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)が「荒れる春」を総括した。
 「関脇が強い場所は面白い」という言葉があります。3年ぶりの有観客となった大阪での本場所。波乱の土俵を盛り上げた最大の立役者は、新関脇の若隆景でした。

 初優勝の要因は最後まで自分の相撲を貫いたことです。決めたらやり尽くす。おなじみとなった下から押し上げる攻め。自分の型を信じ、勝っても負けても15日間続けました。安定した重心の低い構え同様、全くぶれませんでした。

 低い相手をより下から根こそぎ押し上げた8日目の宇良戦、12日目の琴ノ若戦の押し上げも強烈でした。最大の見せ場は、もちろん優勝決定戦。本割で中に入られて負けている高安は嫌がって突き放して出た。というか出るしかなかった。土俵際の粘り腰も印象的でしたが、相手を焦らせたことも勝因とみています。

 13勝が欲しかったところですが、優勝で大関候補の最右翼に名乗りを挙げました。以前から名人芸のようなおっつけの素晴らしさは目を見張るものがありましたが、ここ数場所でさらに地力もついた印象です。昇進するには直近3場所の成績、内容を評価されます。3場所は、期間でいえば半年。私の経験でも、高いレベルの状態を維持するのは相当過酷です。日頃の鍛錬も含めケアも大事になってきます。ただし、最近の充実ぶりを見ると杞憂(きゆう)に終わる可能性もあります。

 対照的に、高安は最後の最後で普段と違った相撲を取ってしまった印象です。勝負の時は、いかに自分を信じ、自信を持つか。それに尽きます。千秋楽の阿炎戦、決定戦はともに「らしさ」がありませんでした。それでも着実に進歩はしていますし、この悔しさをどう生かすかでしょう。正念場です。

 3大関は千秋楽まで優勝争いに加われなかったのは残念です。御嶽海は11勝でしたが、終盤勢いづいた正代も結局は9勝。貴景勝は8勝です。物足りなさを感じるとともに、奮起を促したいと思います。そして、次代の波は確実に大きなものになって押し寄せていると感じています。(元横綱・稀勢の里)

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