「新世紀世代」山下 国内メジャー完全V!宮里藍に次ぐ20歳279日年少記録、母の日に母の前で歓喜
2022年05月09日 05:30
ゴルフ
初のメジャー制覇は家族でつかんだ。5歳の時、コーチも務める父・勝臣さんと始めたゴルフ。父は「120は叩く」と苦笑いする腕前も、愛娘の変化には「どんなささいなものも分かる」と言う。前週まで3週連続で予選落ちすると「打ち急いでいる」と指摘。西郷、笹生ら同世代の活躍に焦りを感じていると察すると「自分のゴルフをすればいずれ勝てるよ」と優しく伝えた。どれもが“魔法の言葉”だった。
時には「失敗」もある。最近、父は10キロものハンマーを購入した。筋トレ用だったが、実際は父でも持ち上げられず、完全に重量オーバー。今では物置に眠り、一家の笑い話になった。だがこの柔軟な発想こそが強さの源。身長1メートル50と小柄ながら、この日もドライバーは常に青木、安田の先を行き、4日間のパーオン率75%は堂々の1位だった。
一時は3打差に迫られた最終日も山下は動じない。12番では2位の青木にバーディーを決められた直後、下りの3メートルを沈め、バーディーで返した。「そこから流れをつくれた」と山下。一方で勝臣さんは13番パー3で「左奥に外した後、パーで切り抜けたのが大きかった」と言う。ほぼ時を同じく優勝を確信し、Vロードを突っ走った。
山下は「この緊張の中でアンダーパー。優勝できたので今日のゴルフは100点」と笑った。最高の母の日となった有貴さんも「(名前は)美しい夢が有る。文字通り夢をかなえてくれた」と目を赤くした。20歳279日のメジャー完全Vは宮里藍に次ぐ歴代2番目の年少記録、01年生まれの新世紀世代では初の国内メジャー制覇。「母の日」に家族愛に包まれた新ヒロインが誕生した。
【山下 美夢有(やました・みゆう)】
☆生まれとサイズ 2001年(平13)8月2日生まれ、大阪府寝屋川市出身の20歳。大阪桐蔭高卒。1メートル50、52キロ。
☆ゴルフ 父・勝臣さんの影響で5歳から始める。19年プロテストは6位で合格。昨年4月KKT杯バンテリン・レディースでツアー初優勝。
☆名前の由来 「美しい夢を持ってほしい」との願いで、最初は「美夢」だったが、母・有貴さんの希望で「有」一文字を入れた。病院で「お医者さんに“なんかアラビア語みたいですね”と言われました」(有貴さん)。
☆中嶋常幸 ツアー通算48勝のレジェンドに志願し、20年に合宿に初参加。このオフも4日間の合宿に参加し、アプローチのバリエーションを増やす重要性を教わる。
☆フェラーリ プロテスト合格直後に「フェラーリに乗りたい」と宣言したが、「今はあまり車は…。アクセサリーが欲しい」。母の日&誕生日プレゼントとして、有貴さんにもアクセサリーを贈る予定。
《国内メジャー完全優勝は15人目》88年のツアー制度施行後、国内メジャーでの完全優勝は20年ツアー選手権リコー杯で達成した原英莉花以来、山下が15人目。ワールド・サロンパス・カップでは初の偉業となった。国内メジャーの最年少完全Vは05年日本女子オープンを制した宮里藍の20歳105日で、山下は歴代2位の年少記録。
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