実績から現況重視へシフト ラグビー日本代表34人の選考を読み解く

2022年05月31日 21:20

ラグビー

実績から現況重視へシフト ラグビー日本代表34人の選考を読み解く
<ラグビー日本代表合宿参加メンバー発表>会見で笑顔を見せるラグビー日本代表・ジョセフHC(撮影・村上 大輔) Photo By スポニチ
 日本ラグビー協会は31日、今夏の日本代表メンバー34人を発表し、リーグワンの初代MVPに輝いたフッカー堀江翔太(36=埼玉)が3年ぶりの代表復帰を果たした一方、SO田村優(33=横浜)ら近年代表の屋台骨となっていた主力数人が、代表予備軍となるナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)に回った。
 日本代表とNDSはともに34人。今回の振り分けは、リーグワンを視察してきたジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)が、実績ベースから現況の実力ベースの選手選考に舵を切った表れだろう。田村やCTBラファエレ・ティモシー(神戸)のNDS選出について指揮官は「NDSでは一貫性を持ってプレーをしてもらいたい。ゲーム感覚を取り戻してほしい」と説明。裏を返せば、今季は一貫性やゲーム感覚が代表レベルには達していないと評価を下したことになる。

 横浜で主将を務める田村は今季11試合の出場。中盤戦に右脚をケガした影響もあり、復帰後はキッカーの役割を他の選手に委ねた。昨秋の代表活動中にもケガがあったラファエレも、今季は9試合の出場にとどまる。他の19年W杯代表組では昨年9月に右アキレス腱断裂の重傷を負ったヴィンピー・ファンデルヴァルトは4月に復帰して2試合に出場しただけで、NDS入りはむしろ期待の表れと言える。

 16年秋に就任したジョセフHCは、代表選手にプレーの一貫性を強く求めた。そして攻守で独自の戦術を採るため、戦術を十分に理解し、体現できる選手が自然と重用されてきた。ジョセフ体制のスタートから10番を背負ってきた田村は、誰よりもこれに当てはまる選手だったが、今回はSOに山沢拓也(埼玉)、中尾隼太(BL東京)、李承信(神戸)と、代表ではほとんど実績のない3人を選出。現状で最も生きのいい3人を育成しつつ、田村やケガで外れた松田力也(埼玉)の再浮上を促すための選考だった言える。

 「質の高い10番が5人いて、全員スキルが違う」とジョセフHC。約1年3カ月後に開幕するW杯に向けて、本格的なポジション争いが6月3日からスタートする。

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