井戸木鴻樹＆新井貴浩のゴルフ化学変化⑩　グリーン周りのアプローチ

2022年06月17日 12:00

ゴルフ

　グリーン周りからのアプローチで成功率を上げることは、即スコアアップにつながります。新井貴浩氏は主に転がしで寄せるそうですが、井戸木鴻樹プロによれば大正解とのこと。ザックリやトップなどのミスを避け、確実にピンの近くまでボールを運べるからです。今回は20～30ヤードの距離を打ちますが、読者の皆さんも今一度転がしを見直し、寄せワンの回数を増やしましょう。進行役はティーチングプロのジミー常住氏が務めます。【動画で見る・井戸木鴻樹＆新井貴浩のゴルフ化学変化⑩】

　常住　新井さんはグリーン周りからのアプローチを行う際、どのようなポイントを心がけていますか？
　
　新井　転がせるところではなるべく転がすようにしています。PWか56度のSWを使うことが多いですね。
　
　井戸木　素晴らしい考え方だと思いますよ。ちなみに、キャリーとランの割合はどのように考えていますか？
　
　新井　ボールとピンを結んだ距離の3分の1のところにキャリーさせ、残りの3分の2を転がすイメージです。
　
　井戸木　僕も3分の1をキャリーさせて3分の2を転がすアプローチを行っていますよ。ただ、他にも２通りあって、1つが2分の1をキャリーさせて、2分の1を転がす方法です。もう一つは3分の2をキャリーで3分の1を転がします。
　
　新井　具体的にはどのように打つのでしょう？
　
　井戸木　まず、3分の1をキャリー、3分の2を転がすアプローチですが、使用クラブは52度のAWです。ボールを右足踵の延長線上にセットします。左足体重のハンドファーストで構えたら、低く打ち出して転がしていくイメージを持ちましょう。ロフトが立った状態で構えているので、フォロースルーではクラブヘッドを低く小さく出していきます。この打ち方が最も打ちやすく、ピンに寄る確率も高いと思います。
　
　新井　自分もリスクが小さいことを考えて転がすようにしています。ただ、井戸木プロは先ほどPWをあまり使わないと話していましたが…。
　
　井戸木　ロフトを立てて構える分、転がり過ぎる心配があるからです。上り傾斜のきついグリーンや重いグリーンのときには使いますが、通常は52度のAWを使うことが多いですね。
　
　常住　それでは2つ目のアプローチの打ち方をお願いします。
　
　井戸木　半分上げて半分転がすアプローチは、打ち方自体は先ほどのアプローチと同じです。ただ、ボールの位置をスタンスの中央にセットします。最後に3分の2をキャリー、3分の1を転がすアプローチですが、さすがに52度のAWでは難しいので、58度のSWを使います。ボールの位置は左足踵の線上でロフトを少し寝かせて構えます。フェース面を上に向ける感じですね。極端なハンドファーストや左足体重にせず、バックスイングよりもフォロースルーを大きくしましょう。
　
　新井　最後のアプローチはどういった時に使いますか？
　
　井戸木　グリーンの手前にバンカーがあり、ピンが手前の時ですね。直接グリーンに落とすと、転がっていきそうな時にも使います。ボールを上げて止めるイメージを持ちながら打ちますが、無理にボールを上げようとしないことです。ボールの手前をダフったり、トップなどのミスにつながるからです。あくまでもＳＷのロフトがボールを上げてくれると信じましょう。
　（取材協力＝兵庫・小野東洋ゴルフ倶楽部）

　◆井戸木　鴻樹（いどき・こうき）1961年（昭36）11月2日生まれ、大阪府出身の60歳。豊川中（茨木市）3年時に日本ジュニア優勝。中学卒業後に研修生となり82年プロテスト合格。93年新潟オープンなどツアー2勝。ショットの精度に定評があり、01年以降7度フェアウエーキープ率1位となる。〝元祖日本一曲がらない男〟。13年全米プロシニア選手権で優勝し、日本男子初のメジャー覇者に輝く。

　◆新井　貴浩（あらい・たかひろ）1977年（昭52）1月30日生まれ、広島市出身の45歳。広島工高―駒大を経て98年ドラフト6位で広島入団。05年に43本塁打で本塁打王。08年阪神移籍。11年に93打点で打点王。15年広島復帰。16年に通算2000本安打、通算300本塁打をマークしリーグVに貢献。MVPに輝く。日本代表の侍JAPANでも活躍。18年引退後にゴルフを始めベストスコアは87。

　◆ジミー・常住　本名・常住治臣（つねずみ・はるおみ）1981年（昭56）12月15日生まれ、東京都出身の40歳。日本プロゴルフ協会（PGA）会員。