阿炎 師匠の遺体の横で一夜過ごす「本当は失礼ですけど、今なら怒られないので…怒られたい」

2023年12月19日 05:30

相撲

阿炎 師匠の遺体の横で一夜過ごす「本当は失礼ですけど、今なら怒られないので…怒られたい」
取材に応じる阿炎(撮影・村上 大輔) Photo By スポニチ
 日本相撲協会は18日、元関脇・寺尾の錣山親方(本名=福薗好文=ふくぞの・よしふみ)が17日午後8時27分に、うっ血性心不全のため60歳で都内の病院で死去したと発表した。通夜は22日午後6時から、葬儀・告別式は23日午前10時から、東京都江東区の錣山部屋で営まれる。この日、遺体が安置されている部屋には多くの弔問客が訪れ、部屋頭の小結・阿炎(29)らが故人をしのんだ。
 突然の訃報から一夜、阿炎は師匠のそばを離れずに最後の一日を過ごしたことを明かした。16日の深夜に危篤状態であることを伝え聞き、翌朝に巡業先の堺市から都内の病院へ急行。息を引き取る瞬間までみとった。「“鉄人”だと思っていたので戻ってくるだろうと願っていた。泣くと怒られるので我慢していたけど、耐えきれなくて…」。17日の午後11時ごろ、病院を出た阿炎の泣き腫らした目は真っ赤だった。

 遺体とともに錣山部屋へ戻ると、隣に布団を敷いて一夜を過ごしたという。「師匠の横で寝るのは本当は失礼ですけど、今なら怒られないので…怒られたいですけどね」。最後の最後まで愛する師匠の近くに寄り添った。

 20歳で関取昇進、不祥事による半年間の出場停止、昨年九州場所で幕内優勝…入門から10年半、師匠と二人三脚でここまで歩んできた。「たくさんの愛を頂いた。厳しくもしてもらいました。迷惑ばかりかけたけど、それでも父親のように広い心で守ってくれました」。若気の至りで怒られたこともあったが、今では心身ともに成長。「師匠のおかげでしかない」と感謝の思いがあふれた。

 しこ名の「アビ」は師匠の幼い頃の愛称。それほど期待されており、阿炎自身も「この人についていきたい」と尊敬してやまない。「いまだに背中すら見えない。超えるぐらいしないと」。稽古の再開時期は葬儀後になる予定だが「師匠だったら、すぐやれと言うかな」と思いを推し量った。遺志は、既にしっかりと受け継がれているようだ。

 ≪アスリートかかりやすい症状≫▽うっ血性心不全 心臓の機能が低下し、体に十分な血液を送り出せなくなった状態の心不全によって臓器や血管にうっ血が起こる病態でアスリートがかかりやすい症状という。医学博士の福田医院(横浜市)福田伴男院長は「食生活と激しい運動が起因している。運動後に体内にたまった酸素を汗などで放出できないと心筋梗塞や動脈硬化を誘発しやすい」と説明。激しい運動後はクールダウンなどで酸素を残さないことが理想的な予防法。また若い頃から体調管理をしっかりすることが未然に防ぐ最善策といい「甘いもの、塩分など取り過ぎないこと。発症する前に兆候はあったはず。なったら手遅れ」と注意喚起した。

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