上腕三頭筋とは。トレーニング&筋トレ効果を引き出す鍛え方[トレーナー監修]

2024年04月16日 09:00

上腕三頭筋とは。トレーニング&筋トレ効果を引き出す鍛え方[トレーナー監修]
腕の筋肉のひとつ「上腕三頭筋」。たくましい腕や引き締まった腕を作るには、上腕三頭筋のトレーニングが欠かせません。今回は、…

腕の筋肉のひとつ「上腕三頭筋」。たくましい腕や引き締まった腕を作るには、上腕三頭筋のトレーニングが欠かせません。今回は、上腕三頭筋のエクササイズや、効果を引き出すポイントを解説していきます。

上腕三頭筋とは。どこの筋肉?

上腕三頭筋は、上腕部の裏側に付着している筋肉です。

筋肉の名称はその筋肉の特徴を表しているものが多いのですが、この上腕三頭筋は、名前の通り3つの頭(付着部)を持っている筋肉です。

上腕三頭筋の働き

では、まず上腕三頭筋の筋肉の作りと働きを確認してみましょう。

  • 長頭

上腕三頭筋の中でもっとも長いのが“長頭”です。肩甲骨から尺骨に付着し、唯一肩関節と肘関節をまたいでいます。

長頭の働きは、肘を伸ばす、腕を頭上に上げた際に内側に近づけていく動作で力を発揮します。

 

  • 内側頭

一番深層にあるのが“内側頭”です。上腕骨と尺骨に付着し、肘関節をまたいでいます。

肘を伸ばす時に力を発揮します。

  • 外側頭

外側に位置しているのが“外側頭”です。上腕骨と尺骨に付着し、肘関節をまたいでいます。

肘を伸ばす時に力を発揮します。内側頭と外側頭を合わせて短頭と呼ぶ場合もあります。

上腕三頭筋と上腕二頭筋の違い

名前が似ている筋肉に、上腕二頭筋があります。上腕二頭筋は、腕の表側についている筋肉です。

上腕三頭筋と上腕二頭筋は表と裏の関係で、肘を伸ばす上腕三頭筋と、肘を曲げる上腕二頭筋のように、反対の働きをもっています。

実は大きい?! 腕を太く見せる筋肉は「上腕三頭筋」

腕の筋肉のイメージは、力こぶ。

力こぶの筋肉である上腕二頭筋を鍛えることで、腕が太くなる! と思って上腕二頭筋の筋トレに励んでいる人も多いのではないでしょうか。

しかし、実は、上腕三頭筋の方が上腕二頭筋よりも体積(筋肉の大きさ)が大きいのです。上腕三頭筋を鍛えて筋肥大させたほうが、腕を太くするのには効率的です。

上腕三頭筋を鍛えるメリット。上腕三頭筋を鍛えるとどんな効果があるの?

上腕三頭筋を鍛えることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。

腕が太くなる・引き締まる

先述の通り、上腕三頭筋が筋肥大することで、腕が太くなります。また、女性の場合は、たるんだ二の腕を引き締まった腕にすることができます。

「押す」動作のパフォーマンス向上

肘を伸ばす際に力を発揮する上腕三頭筋を鍛えることで、格闘技のパンチや野球の投動作、バレーボールのアタックなどのスポーツのパフォーマンスを高めることにつながります。

また、サッカーやラグビーなどでも、相手選手との競り合いなどのフィジカルコンタクトの強化のために欠かせない部位です。

日常生活でも、物を押す、起き上がるときに体を支えるなど、上腕三頭筋が活躍する場面は多くあります。それらの動作を楽にしてくれます。

上腕三頭筋が衰えるとどうなる? 上腕三頭筋を鍛えないデメリット

上腕三頭筋が衰えることで、さまざまな動作のパフォーマンス低下や、肩やひじ周りのケガのリスクが高まるなどの悪影響を及ぼします。

見た目にも腕の筋肉がたるみ、メリハリのない腕になってしまうでしょう。

簡単なのに効果的! トレーナーおすすめ上腕三頭筋のエクササイズ3選

では実際に、手軽に取り組める上腕三頭筋のエクササイズを紹介していきます。

リバースプッシュアップ

1.イスに座ります。両手をお尻の横につき、体を支えます。

2.手でしっかり体を支え、お尻を浮かせます。足を遠くにつき、肘をまっすぐ伸ばしましょう。

3.お尻をイスから外し、肘を曲げて体を下していきます。

4.下せるところまでいったら、肘を伸ばし、元の姿勢に戻ります。

5.この動作を繰り返します。

  • 体を前に動かさない

体を下ろすとき、体を前に動かさず真下に下ろしましょう。肘が曲げられない場合は膝を軽く曲げ、足のつく位置を手前にすると負荷が減ります。

足の力を使わず、上腕三頭筋で押すように意識して行いましょう。

上腕三頭筋・広背筋を鍛える「リバースプッシュアップ」の正しいやり方

フレンチプレス

1.両手でダンベルを持ちます。肘を伸ばしたまま、両腕を頭上に伸ばします。

2.肘の位置を固定し、ゆっくりと肘を曲げていきます。動作中、肘が開き過ぎないように注意しましょう。

3.曲げられるところまで曲げたら、肘を伸ばし、元の姿勢に戻ります。

4.この動作を繰り返し行います。

  • 肘が前後に動かないようにする

動作中に肘が前後に動かないように注意が必要です。肘が動いてしまう場合は片腕ずつ行い、反対の手で肘を固定するとよいでしょう。

反動を使うと、肘にストレスがかかり傷めてしまう原因になります。

  • それでも肘が痛む場合は、曲げる角度を浅くする

肘を曲げたときに肘が痛む場合は、曲げる角度を浅くして、痛みがないところで行いましょう。

ダンベル筋トレ「フレンチプレス」の正しいやり方

ナロープッシュアップ

1.腕立て伏せの姿勢になります。手幅は手が三角形を作るように床につきましょう。

2.肘を曲げて体を下していきます。この時、しっかりと脇を締めたまま肘を曲げていき、胸が手にくっつくくらいの位置を目指しましょう。

3.下せるところまでいったら、肘を伸ばし、体を持ち上げていきます。

4.この動作を繰り返します。

 

  • お尻を下げず一直線に保つ

動作中、お尻の位置が変わらないように、体を一直線にしたまま動作を行いましょう。

  • ひざをついて行ってもOK

初心者にとっては、強度が高いエクササイズです。肘が曲げられない場合は、膝をついて動作を行うと、強度が下がります。

ナロープッシュアップのやり方を解説。手幅を狭くして二の腕に効かせよう

上腕三頭筋を効果的に刺激するポイント

ここからは、上腕三頭筋を効果的に刺激するポイントを紹介します。

長頭と短頭を意識してエクササイズを選ぶ

上腕三頭筋のエクササイズには、長頭に刺激が入りやすいものと、短頭に刺激が入りやすいものがあります。

簡単に説明すると、以下となります。

  • 長頭:腕を頭上に伸ばした姿勢で行うエクササイズ
  • 短頭:腕を下におろした姿勢で行うエクササイズ

初心者は気にする必要はありませんが、トレーニングに慣れてきたら、長頭・短頭それぞれをターゲットとしたエクササイズを選ぶとよいでしょう。

酷使されがちな上腕三頭筋は、プレス系種目の後に盛り込む

上腕三頭筋はプレス系種目において、協働筋として働きます。

胸や肩のトレーニングでは上腕三頭筋が使われることが多いので、部位を分割したとしても週に2回程度は鍛えることになります。

それに加え、腕だけのトレーニング日を作ると上腕三頭筋の負担は相当なものになり、オーバーワークや完全に回復できないなどデメリットがあります。

筋トレ上級者であればよいですが、基本は胸や肩のトレーニング日に、一緒に上腕三頭筋を鍛えましょう。

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 初心者はケガのリスクが低い自重トレーニングがおすすめ

ウエイトを顔の前や頭上で扱う上腕三頭筋のエクササイズは、初心者にとって動作が難しいことや、重い負荷が使えずに刺激が弱まってしまうことがあります。そのため、筋トレ初心者は自重のエクササイズを中心に行うとよいでしょう。

自重トレーニングならケガのリスクも低いうえ、動作も簡単、しっかり負荷をかけることができます。

慣れてきたら積極的にフリーウエイトを活用して重量を挙げよう

「ライイング・トライセップス・エクステンション」や「クローズグリップ・ベンチプレス(肩幅にバーを握り背中をアーチにして行うベンチプレス)」など、フリーウエイトで行う上腕三頭筋のエクササイズは、高重量を扱うことができ、上腕三頭筋に強い刺激を与えます。

筋肉を成長させるには、強い刺激が必要です。筋トレに慣れてきたら、積極的にフリーウエイトを活用して上腕三頭筋を鍛えましょう。

上腕三頭筋を引き締めるダンベル筋トレ「トライセップエクステンション」の効果的なやり方

プロがおすすめする上腕三頭筋を追い込むメニュー

最後に、強烈に上腕三頭筋を追い込むトレーニングメニューを紹介しましょう。

今回紹介するのは、同じ部位を鍛える2つのエクササイズを、休憩を挟まずに連続で行う方法で、「コンパウンドセット法」といいます。

コンパウンドセット法のやり方

プッシュアップ(腕立て伏せ)を例に、コンパウンドセット法のやり方を解説します。

【例】

  1. ナロープッシュアップ 10×1
  2. (休憩を入れずに)リバースプッシュアップ10×1
  3. インターバル(2分程度)

これを1セットとして、3セット行う

自重トレーニングや軽い負荷でも、コンパウンドセットを取り入れることで、トレーニングのボリュームが高まり大きな刺激が上腕三頭筋に入ります。

自重トレーニングに慣れてきて、負荷を高めたいと思ったら、チャレンジしてみてください。

上腕三頭筋を鍛えて、メリハリのある腕を作り上げよう!

上腕三頭筋は腕の後ろ側にあるため、普段あまり気にすることがありません。そのため、筋肉が衰え、たるみやすい部位でもあります。

上腕三頭筋を意識して鍛えることで、メリハリのある腕を作り上げることができます。今回紹介したエクササイズやポイントを参考に、上腕三頭筋のエクササイズをトレーニングメニューに組み込んでみてください。

著者プロフィール

和田拓巳(わだ・たくみ)

プロスポーツトレーナー歴22年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院や競技チーム帯同で得たケガの知識を活かし、リハビリ指導も行う。医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。現在、様々なメディアで執筆や商品監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信中。
2021年 著書「見るだけ筋トレ」(青春出版社)発刊。

Official site : https://wada0129.wixsite.com/takumiwada
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Twitter: https://twitter.com/PT_wadatakumi

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<Text:和田拓巳/Edit:編集部>

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