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APFフィジーク初代王者・竹下竜陛選手に聞く、大会優勝のために行った食事戦略&トレーニング

2024年08月17日 09:00

APFフィジーク初代王者・竹下竜陛選手に聞く、大会優勝のために行った食事戦略&トレーニング
APF(Asia Physique Federation)。国内フィットネスイベントの運営組織で、メンズフィジークやビキ…

APF(Asia Physique Federation)。国内フィットネスイベントの運営組織で、メンズフィジークやビキニモデルなど多くのコンテストを全国開催しています。

APFは特定のジムや団体に所属していなくても出場可能で、キッズやファミリー向けのカテゴリーもあるなど、ボディコンテスト初心者も挑戦しやすい雰囲気ですが、出場選手たちの仕上がった体を見て分かるように、しっかりと戦略を持って体づくりを行う必要があります。

今回は、APF フィジーク初代王者でありVALX GYMトレーナーの竹下竜陛さんにインタビューを行い、大会優勝のために行ったトレーニングと食事戦略などを伺いました。

竹下さんは2021年から多くのメンズフィジーク大会で優勝を果たしており、2022年APF JAPAN CLASSIC フィジークモデルオーバーオールでは初代日本王者を獲得、その後もAPFフィジークモデルでoverall優勝という経歴の持ち主。

これから大会優勝を狙う人、ボディコンテスト出場を目指しているトレーニーはぜひご一読を!

──ボディメイクにはトレーニングだけでなく食事も大切ですが、大会優勝を狙うためにどんな食事戦略を行いましたか?

竹下さん:選手によって変わるとは思いますが、僕は増量期も減量期も、基本的に食事の内容は変わらないです。

増量期というと、脂質も多めに摂るなどダーティー(大雑把)な食事で体を大きくしてから減量期にメリハリをつけて絞りきるという状態ですが、僕は常にコンディションが良い状態で、トレーニングも高いレベルを維持したいので、ローファット(低脂質)だったり、時にはローカーボ(低糖質)を意識しています。

ローファットの場合、脂質が総摂取カロリーの20%を切るくらいでしょうか。ローカーボのときは、総摂取カロリーの40~45%にしています。

──1日の具体的な食事内容を教えてください。

竹下さん:増量期でも減量期でも、主食は玄米、もしくはさつまいもです。トレーニング前はバナナ、タンパク質は鶏むね肉。これらは年中食べています。

──「食べたい欲」のコントロールに苦労している人も多いですが、竹下さんの場合、食事管理でもっともキツかったこととは。またどのようにして対処したのでしょうか。

竹下さん:最近は慣れてきましたが、僕も人間なので、味の濃いものが食べたいときはあります。

コンテスト後が一番、食欲が増してしまうんですよ。体が枯渇した状態でステージに立って、終わった直後は空腹になってしまうので、そこで甘いものや辛いもの、味気のあるものが食べたくなります。でも、抑えています。

年中コンテストに出ているので、増量期であっても体脂肪は上がらないようにキープしています。

──意志の力で食欲を我慢しているのですか?

竹下さん:意志の力もそうですが、やっぱり目標がないと、こういうことを続けるのは至難の技なんじゃないかなって思いますね。目標があるから頑張れる。ただ「食べない!」じゃなくて、このためにやりきろう、目標のために頑張ろうって、そういう風に考えて乗り切っています。

目標がないと、その時々はできるかもしれないですけど、継続して何年もという長い目で見ると、なかなか難しいのかなと思いますね。

──たとえば残業が多い、家庭の事情などで自炊の時間がとれないトレーニーもいるかと思います。とはいえすべて外食やコンビニで賄うのも気が引ける。そうした場合、おすすめの対処法はありますか?

竹下さん:最近はコンビニでも高タンパク食品が増えていますので、お金はかかってしまいますが手間は省けるので、サラダチキンや出来合いのものでもいいと思いますよ。

──塩分や添加物が気になってしまうトレーニーの場合は?

竹下さん:自炊もレベルによると思うんですよね。たとえば僕の場合、鶏むね肉を買ってきて、皮を剥いでから茹でてカットして……という手間があり、これに1~2時間ほど調理時間が掛かっています。

そういう時間がとれない場合は、何かひとつの食べ物を自炊して、どれかは出来上がったものを購入するなどでしょうか。

僕の例で言うと、さつまいもはそのまま買ってレンジで温めるだけにして、鶏むね肉はきちんと処理するとか。逆に鶏むね肉はコンビニで買うけれど、さつまいもは添加物が入らないように自炊するなど。

なにか妥協しないと続かないと思いますし、続けることが大事なので、自分なりに続けやすい方法を探るといいのかなと思います。

──続いてトレーニング戦略について。大会優勝を狙うためにどんなルーティンでトレーニングを行ったのでしょうか。

竹下さん:トレーニングは「部位分割法」で組んでいます。たとえば月曜日は胸、火曜日は背中、水曜日は肩、木曜日は腕、金曜日は足という感じで、部位を分けて、その日ごとにトレーニングを積んでいくスタイルです。

基本的に、僕はオフをあまり取らないです。ありがたいことに、いま少し仕事が忙しくて、休憩時間しかトレーニングする時間がなくて。今のルーティンだと、朝7時からパーソナルトレーニングを担当して、お昼休憩の1時間、そこで50分のトレーニングをします。

そして残りの10分で次のお客さまの準備をして、13時から次のお客様を担当する。それが16時まで続き、そこからはVALX のYouTubeチャンネル『VALX 山本義徳 筋トレ大学』の撮影や、本社に行くなどして19時ぐらいになります。トレーニング時間が確保できないので、1日のトレーニング時間は短い代わりにオフは取らないというスタイルです。

1日2~3時間ほど確保できる方であれば、週5ほどトレーニングをガッツリやって、2日オフでもいいですし。ライフスタイルに合わせて変えていくことが大事なんじゃないかと思います。

──トレーニング全体で意識している共通ポイントなどはありますか?

竹下さん:目的によりますが、たとえば筋肉を大きくしたいという場合は、やっぱり重さを求めていかないとなかなか難しい。

なのでトレーニングノートやスマホアプリとかで記録をとることが大事だと思います。今日何キロ上げたかメモを残しておいて、次回のトレーニング時に、前回より自分は強くなっているのか確認するなどですね。なんとなくトレーニングを行っても成長は難しいので、記録を取って成長を確認していくことが大事だなと思います。

僕も、最初の頃は記録を取っていなくて、自分が成長してるのかどうか曖昧だったのですが、記録を取り始めてからよくなってきて、今も記録を取り続けています。

──筋トレ初心者だと、重いものを持てるようになってきたという感覚はあるものの、記録をつけていない人も多そうです。

竹下さん:そうなんですよ。あとは、体重や食事内容も記録するといいですね。

たとえば体重が1キロ増えて、挙上重量が2キロ増えた場合、増えた体重に対して挙上重量のほうが重くなっているので、すごく大きな成長です。でも、もし体重が10キロ増えて挙上重量が3キロしか増えていない場合、増量に見合う成長なのだろうか? と。

そういうふうに、増えた体重に対して挙上重量がきちんと上がっていくように注意してノートをとる、これは意識して行っています。

──ちなみに苦手な種目と、逆に「ついやってしまう」好きな種目はありますか?

竹下さん:課題の部位はあって、「肩」と「背中」です。毎年(大会の)ジャッジから言われるんですよ(笑)

好きな種目はベンチプレスで、ついやっちゃいますね。単純に重いものを持ち挙げたいっていう理由です。

ベンチプレスはミッドレンジ種目(複数の関節を一気に動員して動かす種目)で肩や肘も使うので、重いものを扱いやすいんです。

──竹下さんのような方でも、「今日、トレーニング面倒くさいな」と思ってしまうことはあるのでしょうか?

竹下さん:めちゃくちゃあります。とくに大会に向けた減量末期とかは、摂取するエネルギー量が下がってくるため、どうしても元気が出ないときが何年続けててもあります。そういうときは、休んじゃいたいっていう気持ちは出てきますね。

トレーニングが嫌だからとかそういう理由ではなく、摂取カロリーが低下していくにつれてトレーニングがキツくなってくるのが理由です。単純に力が出なくて。

そういうときは、やっぱり勝ちたいっていう思いや、目標に対して気持ちを向けてやることで頑張っています。

──食事とトレーニング以外で力を入れたことを教えてください。

竹下さん:やっぱりポージングです。僕はボディビルではなくフィジークというカテゴリーで出場していて、基本的にそこでは「フロントポーズ」と「バックポーズ」があります。これがすごく難しくて。いろいろな選手の動画を見て研究するとか、実際にジャッジに見てもらってアドバイスをもらうなどは大事なんじゃないかなと。

これから競技を目指す方は、ただいい体だけだと勝てないんですよ。ここは大事なポイントです。

筋トレはいわゆる筋肉の伸張と収縮ですが、ポージングは等尺性の筋活動といって、筋肉を「固め続ける」能力が必要なんです。筋トレばかり頑張ってポージングをおろそかにすると、大会ステージ上でポーズの維持ができない。フラフラしちゃったり、ポージング中に腕が疲れて下がってしまったり、腹筋が緩んできちゃうという事態が起こります。

競技でトップを目指すとなるとそこで差がついてしまうので、ポージングもしっかりやった方がいいですね。

次回:「ボディコンテストの気になるアレコレ」に続く

プロフィール

竹下竜陛(たけした・りゅうへい)

VALX GYMトレーナー。学生時代に力を入れていたレスリング全国大会での予選敗退をきっかけに、目標や志を見失い、一般企業へ入社。入社から数年後、元々好きだった身体を動かすことで人生を変えたいと思い、2018年から食事管理やレジスタンストレーニングを開始。数々のコンテストで優勝し、初出場から4年目のdx2022年、APFというボディコンテスト団体のフィジークモデルカテゴリーにおいて日本一を獲得。

【大会実績】
2021年 NPC WORLDWIDE×FWJ BLAZE OPEN Men’s physique open-170 優勝
2021年 IFBB PROFESSIONAL LEAGUE × FWJ EVOLGEAR HIDETADA YAMAGISHI, IRIS KYLE JAPAN CLASSIC Men’s physique ClassA優勝
2022年 Grand Prix Series APF TOKYO OPEN Physique model 優勝
2022年 Grand Prix Series APF JAPAN CLASSIC Physique model Class 30 優勝
Physique model Overall 優勝(APF日本大会/総合優勝=初代日本王者獲得)
2023年 Grand Prix Series APF GOUKETSU Physique model Class 30 優勝
APF JAPAN CLASSIC 2023 Physique model Class 30 優勝

<Edit & Photo:編集部>

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