ヤクルト・雄平 かつての18勝左腕は二塁打キングを目指す

2017年05月22日 13:20

野球

ヤクルト・雄平 かつての18勝左腕は二塁打キングを目指す
ヤクルト・雄平 Photo By スポニチ
 【宮入徹の記録の風景】鋭い打球が右中間を抜けていく。5月7日のDeNA戦で先発4番に座ったヤクルトの雄平外野手(32)は9回にこの日4本目の二塁打をマーク。1試合4二塁打は史上12人目のプロ野球タイ記録になった。第1号は80年前の1937年6月1日にタイガースの門前真佐人が洲崎球場で行われたイーグルス戦で達成した。この試合に門前は7番捕手として出場。1、2、4、8回に二塁打を放った。その後14年6月14日にヤクルトの岩村明憲が日本ハム戦で記録するまで11人が達成。先発打順を調べてみると5番が3人で最多、次いで1、2、3、7番が各2人。4番で4二塁打は雄平がプロ野球初めてだった。
 今季の雄平は既に両リーグ最多の16本の二塁打をマーク。最終54本ペースと量産している。二塁打のシーズン最多記録は01年オリックスの谷佳知が作った52本。セでは06年福留(中日)の47本となっている。雄平がゲーム最多とシーズン最多を同一年に達成すれば初めてのケースだ。実際、5月に入って雄平は打撃好調。22日現在、17試合で打率・365、14打点。本塁打こそないが、二塁打は12本。60年以降、月間二塁打の最多記録は85年5月に巨人のクロマティがマークした16本。雄平が今月の残り7試合で更新する可能性は十分ある。

 雄平は東北高から02年ドラフト1位でヤクルトに投手として入団。高卒1年目の03年にいきなり5勝を記録し、07年までの5年間で18勝を積み上げた。だが、08、09年ともわずか1試合ずつの登板に終わり10年に外野手に転向した。通算安打は562本。2リーグ制後の入団選手で2桁勝利と通算1000安打以上をクリアしたのは関根潤三(近鉄―巨人)が65勝、1417安打で記録したのがあるだけ。過去3年間、雄平の安打は173、149、122本と3年連続で100安打以上を放ちレギュラーポジションを獲得している。故障さえ無ければ「2桁勝利&通算1000安打」は決して高いハードルではないだろう。

 ところで投手の1試合4二塁打は未記録だが、過去に惜しい例がある。阪急などで活躍し通算189勝を挙げた石井茂雄がその人。65年5月21日東映戦(西宮)で3回に左翼線二塁打を放つと4回は中越え三塁打、6回には三塁線を破る二塁打、8回は右翼に二塁打と4打数オール長打の4安打で3得点。もしも4回の三塁打で二塁に止まっていれば、めでたくプロ野球タイ記録達成となるところだった。

 試合後のコメントで石井は「笑いが止まらないくらいよく当たった。不思議と球の方から当たってくるんだ」とユーモラスに話し、記録を逃したことは知らされなかったようだ。これだけダイヤモンドを駆け巡っても本職の投球の方は充実。9回126球を投げ1失点で完投勝利をマークした。翌22日同じ西宮で行われた東映戦も救援登板し1回2/3を無失点に抑え連夜の白星を手にしている。昔の投手のタフネスぶりには脱帽するしかない。 (専門委員)

 ◆宮入 徹(みやいり・とおる)1958年、東京都生まれ。同志社大卒。スポニチ入社以来、プロ野球記録担当一筋。94年から15年まで記録課長。本社制定の最優秀バッテリー賞の選考委員会には、1回目の91年から26回連続で資料説明役として出席。

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