【タテジマへの道】糸原健斗編<上>プロへの道開いた“2度目の覚悟”
2020年04月17日 15:00
野球
開星高(島根)では3度甲子園に出場し、3拍子そろった内野手としてプロの注目を集めた。だが「甲子園で自分より上にいった(勝ち進んだ)選手を見ていて、思うところがありました」と気持ちが揺れた。このままで本当に通用するのか―。実際に下位指名や育成枠で獲得される可能性はあったが、「4年間鍛えてからでも遅くない」と明大進学を決めた。
「この4年でなんとしても」。そんな思いで臨んだ明大では、3年春に二塁と三塁の兼任でレギュラーをつかむと、秋にはドラフト上位候補―と報道されることもあった。ついに…。そんな思いだった矢先の4年の3月。オープン戦で死球を受けて右手甲を骨折してしまう。その影響で、春のリーグ戦では思うような打撃ができずに打率・163。秋も調子は上がらず、同・220に終わった。進路相談では明大の善波達也監督に「社会人を経験して、2年後に目指したらどうだ」と言われた。社会人経由となると今まで以上に即戦力が求められ、夢の扉は確実に狭まる。だが、プロへの思いが消えることはなかった。「2年しっかりやって、(プロに)いってやろうと思った。悪い方に考えず、鍛えられると思って」とJX―ENEOSへの入社を決意。2年後、ついに長年の我慢と努力が報われた。
11月1日。社会人野球日本選手権(京セラドーム)を観戦するため大阪を訪れていた洋子さんと、姉の英里さん(25)の3人で海鮮料理に舌鼓を打った。仕事のため試合当日に大阪に入った父・優二さん(54)と、兄・大祐さん(27)は参加できなかったが、その場で家族に対して「初めて」という野球での決意を語った。「この先どうなろうと、社会人で終わるより、一番上のプロの世界で野球人生を終えたかった。これからだけど、がんばります」。その目に、迷いはなかった。
島根県・雲南市に生まれた3016グラムの男の子は、健康に育ってほしいという思いを込められ「健斗」と名付けられた。小学1年のときに初めて買ってもらったグラブは毎日手入れを欠かさず、6年間使い続けるほどの野球少年だった。そんな男は苦労に苦労を重ね、やっと『スタートライン』に立った。
(2016年11月10日付掲載、明日に続く)
◆糸原 健斗(いとはら・けんと)1992年(平4)11月11日生まれ、島根県出身。小2から野球を始める。開星では1年秋からレギュラーで2年春、3年春夏の3度甲子園出場。明大では3年春に三塁手の定位置を獲得し、同年春、秋に2季連続のベストナインを受賞。社会人のJX―ENEOSでは1年目から主に二塁手として活躍した。1メートル75、80キロ。右投げ左打ち。
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