居酒屋の社会人野球チーム「ジェイプロジェクト」 野球も仕事も苦境だが「今は来るべき時の準備」
2020年05月10日 05:30
野球
専用球場を持たない。自治体が相次いで施設閉鎖を決めたため練習場所の確保が困難となり活動休止となった。事は野球だけにとどまらない。日本野球連盟に登録している企業チームとしては唯一、飲食業が主事業。政府の緊急事態宣言発令によって65業態141店舗のうち、直営132店舗が完全休業となり、就業も不可能になった。片岡が「正直どうなるんだろうという感じ」と不安を吐露し、全部員が社員のチームに動揺が広がった。
そんな中、チームを創部させたジェイグループホールディングスの新田治郎代表取締役は名古屋市の本社に部員全員を呼び寄せ「企業スポーツは会社の心の社旗。どれだけ厳しくても降ろすわけにはいかない」と激励し、不安を取り除いた。
京都出身の新田代表は高校卒業後に上京し、ディスコ「マハラジャ」で知られる日本レヂャー開発に入社。24歳の若さで名古屋レヂャー開発の社長に就任し、97年に現会社を立ち上げた。生粋の野球好きで「会社にとって、硬式野球部の存在は非常に大きい。社員の励みになっている」と存在意義を説く。
「この世の出来事は必然かつ必要で、振り返ればベストのタイミングで起きている。これは松下電器(現パナソニック)創業者の松下幸之助さんの言葉で、僕自身の強い持論。この環境でも今しかできないこと、学ぶことが絶対あるはず。今はしゃがむ時期かもしれないが、大きなジャンプをしなければいけない来たるべき時が来る。その時の準備だと」
4月下旬に牛肉30キロを差し入れた。給料面の保障など今後の見通しも動画で配信。物心両面での支援を惜しまず、グループ全体で未知のウイルスと戦う準備を進めている。
自主練習中の部員も戦う覚悟を固めた。片岡主将は言葉に力を込めて言う。「僕の場合は、野球ができるから働く…ではなく、社業があるから野球があるんです」。バーテン兼ホール係として勤務する経験を生かし、部の公式インスタグラムに自身考案カクテルなど“居酒屋メニュー”掲載を予定。「野球も見に来てほしいですが、お客さんにはまず店に来て楽しんでもらいたい」。終息を信じ、積極的な発信を始める。
新田氏にも迷いはない。「いつの日かコロナの時は苦労したよねって話せる日が必ず来る。彼ら(野球部員)も会社も、乗り越えられたと思える人生を送っていかないといけない。こだわるものは未来だ」。総力をあげて耐え、事態の収束を待って攻勢に出る。
◆(株)ジェイグループホールディングス 1997年3月3日設立。本社は愛知県名古屋市。飲食、不動産、ブライダルなどの事業を手がけ、飲食店は全国に65業態141店舗(2月末時点)を展開する。硬式野球部は09年創部で2大大会には都市対抗出場1度(12年)、日本選手権出場なし。元近鉄の大石大二郎氏が監督を務める。プロ野球には庄司龍二(11年オリックス・ドラフト5位)と角屋龍太(15年オリックス・ドラフト8位)の2人を輩出。
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