「プロに行け!」と背中を押したい盛岡中央・斎藤響介 明かされた春の不調理由 この夏で一気に上位候補に

2022年07月28日 08:30

野球

「プロに行け!」と背中を押したい盛岡中央・斎藤響介 明かされた春の不調理由 この夏で一気に上位候補に
岩手大会決勝の一関学院戦で力投した盛岡中央・斎藤(撮影・藤山 由理) Photo By スポニチ
 この春から新企画の「スポニチスカウト部」がスタートした。毎週火曜の紙面で今秋ドラフト候補を紹介するというもの。アマチュア野球担当記者の私は、スケールの大きい選手を育んできた東北の大器を探していた。お目当ては第2の佐々木朗希であり、大谷翔平であり、菊池雄星。各地で春季大会が始まる前だった。「岩手に剛腕あり」のうわさを聞き、東京駅から北に向かう新幹線に飛び乗った。
 盛岡中央のエース右腕・斎藤響介(3年)。昨夏に149キロを計測したという速球派。だが、春季大会で彼の投球を見ると最速は140キロ台前半。春季県大会1回戦の久慈東戦では先発し、8回9失点でコールド負け。視察したスカウト陣が首をひねった不調の原因を取材で探った。しかし、斎藤は「自分のせいで負けた」と号泣しながらエースの責任を背負った。

 アマチュア野球担当記者の派遣先は、統括する上司への「プレゼン」で決まる。東北と関東を担当する私はこの夏、関東の強豪を差し置いて「盛岡中央の斎藤に行くべきです」と猛アピール。理由があった。140キロ前半ながら力感のない投球フォームから、繰り出す直球で多くの空振りを奪っていた。「あの球質で149キロが出たら…」。ロマンあふれる右腕に懸けた。

 「プレゼン」は実り、斎藤の夏を追うことができた。結果から言おう。正解だった。今大会では自己最速を3キロも更新する152キロを記録し、盛岡市立との3回戦で9イニングでの大会2位タイ記録となる1試合19奪三振を樹立。そして準決勝では強豪・花巻東に完投勝利を挙げた。敗れた一関学院との決勝でも7回にその日最速タイの148キロを叩き出す無尽蔵のスタミナを見せ、自身の評価をドラフト上位候補まで押し上げた。

 寮のない盛岡中央。今大会で食事やコンディションニングの面で支えた両親に取材を重ねると、衝撃の事実が判明した。斎藤は春季大会直前に新型コロナウイルスに感染していた。春季大会でコールド負けした明確な理由を17歳は、取材で隠して自身の実力不足としていた。

 31歳になった記者には「言い訳しない」人間性が、152キロの直球よりも魅力に感じた。決勝の敗戦後、進路について「これから長く考えて決めていきたい」と言った斎藤。自信を持って言える。「響介、プロに行け!」 (記者コラム・柳内 遼平)

 ◇斎藤 響介(さいとう・きょうすけ)2004年(平16)11月18日生まれ、岩手県滝沢市出身の17歳。小3から竹の子スポーツ少年団で野球を始め、滝沢中では軟式野球部に所属。盛岡中央では1年夏からベンチ入りし、2年夏から背番号1。憧れの選手はオリックス・山本。50メートル走6秒5。遠投105メートル。1メートル77、72キロ。右投げ右打ち。

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