有藤通世氏 オリックスは打撃戦想定「2番・西野」が最後に結実
2022年10月28日 05:30
野球
せめて5回を我慢すれば、宇田川か山崎颯のどちらかは1イニングであればこの日も登板できたが、目の前の白星をもぎ取りにいった。宇田川を突っ込んだ時点で第5戦に2人は使えない。僅差で逃げ切るゲームプランは捨てていたと思う。
勝つためには打ち勝つしかない中嶋監督は打撃戦を想定し、打撃のいい西野を2番で起用し、第4戦で安打を打っている杉本と太田の打順を上げた。その杉本と宗、紅林、若月で同点。吉田正の一発で勝ち越した。ここまでは想定通り。ただ、わずか1点差。追加点を狙う間もなく、6回に3番手の近藤が踏ん張れず逆転を許してしまった。この時点では第4戦の代償は大きかったなと感じていた。
このまま寄り切られるかと思ったが、9回に抑えのマクガフを攻め、1死二塁から「勝負手」としてスタメンに抜てきした西野が投手強襲安打。悪送球もあり、同点とし、吉田正の劇的な一発が出た。結果的には、中嶋監督が描いた打撃戦で白星をもぎ取った。
王手をかけられることを覚悟していたゲームを拾って五分。第6戦は1日空いてヤクルトの本拠地に戻るが、次は宇田川も山崎颯も使える。流れはオリックスにある。
吉田正のサヨナラ弾は抜けたスプリット。1球目の直球は内角低めのかなり厳しいところに来て、吉田正はボールと判断し見逃した。そういう球の後だったからこそ、2球目のスプリットがより甘く見えた。西野、中川圭の打席を観察し、マクガフはスプリットが多いと吉田正の頭にはあったと思う。低めには手を出さないと決め、浮いたスプリットをものの見事に仕留めた。
5回の一発も吉田正らしい一発だった。真ん中の直球。山下の独特の腕の振りにアジャストさせたテクニックが光った。ヤクルト先発の山下は体格の割に直球は140キロいくかいかないかの球速。バックスイングが小さくてボールの出どころが見にくく、タイミングを取りづらい。直球かと思うとスライドしたり、シュート気味に落ちたり。捉えどころのない左腕だった。
吉田正は第1打席で真ん中の直球を見逃した後の2球目、カットボールを二ゴロ。第2打席は真ん中低めの直球。「もらった」とフルスイングしたが、タイミングを微妙に外され、左飛に倒れた。迎えた第3打席。ずらされていたタイミングを修正し、スタンドまで運んだ。一発が出ず破壊力に乏しかったオリックス打線にあって、吉田正の2発は大きい。ヤクルトはより慎重にくるだろうが、吉田正には1球をモノにする集中力がある。
ヤクルトは勝たなきゃいけない試合だった。初回から拙攻で1点しか取れず、6回には逆転した後に山田が中飛。攻め切れなかった。宇田川、山崎颯のいない救援陣から決定的な点を奪えなかったことが最後に響いた。
守りにも不安がある。オリックスの打者が中村のリードに慣れてきたような感じを受ける。勝負球でカウントを整えて、直球でズバッと勝負。第4戦まではこのリードがはまっていたが、4回の紅林には6球目の直球を中前に運ばれ、9回には西野をスプリット、スプリットで追い込んだ後の3球目。決めにいった外角直球を投手強襲安打された。
第6戦以降は先発が2度目の登板となる。目が慣れたオリックス打者相手にバッテリーはさらに厳しい戦いを強いられる。両チームにいえることだが無駄な四球、ピンチでの制球ミスが命取りになる。
《連続試合本塁打0ストップ》オリックスは吉田正がサヨナラ本塁打を含む2本塁打。これでシリーズ第1戦から続いていたチームの連続試合本塁打0は4試合でストップ。1シリーズの最多連続試合ノーアーチは11年中日の6試合(第2~7戦)。初戦からでは14年阪神の5試合があり、今回のオリックスはいずれもワースト記録を免れた。
《ヤクルト・山下の直球狙い打ち》オリックスは第5戦でシリーズ最多の6得点。安打数は第2戦の13本に次ぐ11本を放った。ヤクルト先発・山下との対戦では、4回に2点を返して同点。4安打のうち、杉本と紅林が追い込まれたカウントから直球を捉えた。5回に一時勝ち越しのソロを放った吉田正も直球を捉えた。
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