【オリックス山本由伸・独占手記】チーム愛実感した日本S 第1戦で左脇腹負傷「万全の状態でないと…」

2022年10月31日 07:00

野球

【オリックス山本由伸・独占手記】チーム愛実感した日本S 第1戦で左脇腹負傷「万全の状態でないと…」
<ヤ・オ>日本一となり宗に笑顔で水を浴びせる山本(撮影・沢田 明徳) Photo By スポニチ
 【SMBC日本シリーズ2022第7戦   オリックス5-4ヤクルト ( 2022年10月30日    神宮 )】 日本一に輝いたオリックスのエース・山本由伸投手(24)が、以下の通り、スポニチ本紙に独占手記を寄せた。
 日本シリーズという舞台で、もう一度投げることはかなわなかったが、心から応援したし、頼もしさを感じた。一歩引いて、テレビで仲間の投手陣を見ていると、「よく、こんな場面で投げられるな」と思うことが何度もあった。第2戦で、3点優勢の9回に同点被弾した阿部さんのことを思えば、打たれた時の気持ちも分かるし、そういうことを考えたら本当に尊敬する。自分のチームに対する愛情も、改めて実感した。

 先発した第1戦で、左脇腹を負傷して5回途中で降板した。凄く悔しい気持ちはあるが、長いシーズンを戦った中で、肩や肘を痛めるなど大きなケガもなく、左脇腹も軽傷で済んで、今季を終えることができて、ホッとしている部分もある。

 神宮で2試合を戦い、大阪に戻った時に実は病院で診察を受けた。担当医は「球数を絞れば投げられるのは投げられる」と言ってくれたが、ケガを我慢して投げる僕より今の救援陣は強靱(きょうじん)。万全の状態でないと、みんなよりいい球は投げられない。

 同級生の颯一郎(山崎颯)とウダ(宇田川)は本当に凄い。直球などベストボール一球を取れば負けている。普段から仲が良く、新幹線や飛行機など移動の際に誰がコーヒー代を払うか、じゃんけんしたり。颯一郎はトミー・ジョン手術、ウダは育成から入った。いっぱい苦労している2人の活躍は、本当にうれしい。

 昨年同様、今年も開幕前に伊勢神宮を参拝した。「元気に1年間、そして、去年以上に大活躍できるように」と願った。欲が凄いので。重圧は全くなかった。もし、去年の成績が自分の限界だとしたら不安が重圧に変わったかもしれないが、昨季終了後も「まだやれた」「もっとできただろう」と思った。オフの練習も必死で取り組んだ。絶対にやれるというメンタルだった。

 振り返って感じることは、「もっと頑張らないと」。今季の個人成績は去年より落ちる数字が多いが、6月18日の西武戦でノーヒットノーランを達成できたし、7月9日のロッテ戦では自己最速を更新する159キロも計測した。あの球は実際は抜けていたが、「これか」というリリースの感覚があった。この先が160キロだと感じた。球の質は確実に去年より手応えがあり、個人能力として順調にステップを踏んでいる。

 チームとしての力も毎年どんどんついていると感じる。一番は中嶋監督の力。自身の監督人生だけを考えたら、勝利だけを求めて救援陣をどんどん投げさせればいいのに絶対にしない。選手の野球人生を一番に、勝利も考えつつという戦略。ひと味もふた味も違う。いい意味で本当に普通ではない人だと思う。

 来年こそは自分の中で一番の、ダントツの成績を出したいし、出せると思っている。来春のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)にも出場したい。トップレベルの選手たちと一緒に野球をやれることは本当に楽しいことなので。自分の向上心が尽きる時があるのか、自分でも分からない。仮に、もの凄い結果を残せたとしても、その時には別のやりたいことが出てくると思う。例えば中学3年の僕が今の僕を見たら、「めっちゃ凄いやん」と言うと思うが、今の自分を省みた時に「凄いやん」という感覚は全くないので。目指すのはリーグ3連覇。個人としても獲れるタイトルは全て獲れるように、やっていく。(オリックス・バファローズ投手)

おすすめテーマ

2022年10月31日のニュース

特集

野球のランキング

【楽天】オススメアイテム