【内田雅也の追球】「刮目相待」の「青春」 若返った岡田監督にならい、グラウンドを闊歩しよう

2023年02月18日 08:00

野球

【内田雅也の追球】「刮目相待」の「青春」 若返った岡田監督にならい、グラウンドを闊歩しよう
練習を見つめながら笑顔を見せる岡田監督 Photo By スポニチ
 1週間ぶりに沖縄に入った。私事だが、先日12日、60歳、還暦を迎えた。中国では「華甲(かこう)」と呼び「最も大切な誕生日」だと中国人の友人が教えてくれた。家族からもらった赤いウオーキングシューズで、きょう18日から阪神キャンプ取材を再開する。
 <青春とは人生のある期間ではなく、心の持ちかたをいう>。60歳を迎え、頭に浮かぶのは、有名なサムエル・ウルマンの詩『青春』だった。<二十歳の青年よりも六十歳の人に青春がある。年を重ねただけで人は老いない。理想を失うとき初めて老いる>。

 阪神監督・岡田彰布が60歳を迎えた2017年当時を思い出す。監督復帰を待ち望みながら、当時は金本知憲2年目で、要請などあるはずもないころだった。もう残された時間など、限られているとみていたが、それでも岡田は何食わぬ顔をしていた。「まあ、これからは一年一年よ」と話していた。そう、一年一年が勝負の年齢になっていたわけだ。

 昨年10月、願望かなって阪神監督に復帰した。就任時の年齢としては阪神歴代監督で最高齢の64歳。いまは65歳。阪神監督最高齢66歳の野村克也を超えるのも時間の問題である。

 昨秋、甲子園球場で行われた秋季練習では時折、ベンチに腰掛けて選手を見つめる光景があった。昔を知る者として、グラウンドで座る姿に年老いた印象を抱いたものだ。ところが、11月、高知・安芸での秋季キャンプになると、もう座っている姿はなかった。

 「何でやろ。ユニホームを着ると若返るんよ。気持ちが高ぶるというのかな。日に日に元気が戻ってくる気がしている」

 岡田は青春時代に立ち返っていた。<二十歳であろうと人は老いる。頭(こうべ)を高く上げ希望の波をとらえる限り、八十歳であろうと人は青春にして已(や)む>。

 キャンプでは日々、選手たちが成長している。「刮目相待(かつもくそうたい)」の言葉を思う。「刮目」は目を見開いてよく見ること。「相待」は相手を待ちかまえること。沖縄を離れていた1週間、映像では見ていたが、選手たちは大いに成長していることだろう。何しろ、12球団唯一、昭和生まれが1人もいない若いチームなのだ。

 若返った岡田にならい、グラウンドを闊歩(かっぽ)したいと楽しみにしている。=敬称略=(編集委員)

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