侍・朗希の異次元のポテンシャルをダルが絶賛「自分とは全く違う。全てを兼ね備えている」

2023年02月20日 05:00

野球

侍・朗希の異次元のポテンシャルをダルが絶賛「自分とは全く違う。全てを兼ね備えている」
汗を飛ばしながらブルペン投球する佐々木朗(撮影・岡田 丈靖) Photo By スポニチ
 【侍ジャパン強化合宿 ( 2023年2月19日    サンマリン宮崎 )】 メジャー屈指の右腕を驚かせた。第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する侍ジャパンは、宮崎強化合宿3日目の19日、佐々木朗希投手(21)が初めて投球練習。見守ったダルビッシュ有投手(36)は、中畑清氏(69=スポニチ本紙評論家)に感嘆の声を漏らした。昨季、史上最年少で完全試合を達成した「令和の怪物」の37球に、異次元のポテンシャルを見いだした。
 15歳年下である佐々木朗のスケール感に、ダルビッシュが最大級の賛辞を並べた。捕手後方に並んで、一緒にネット越しに投球練習を見た中畑氏に語った。「スピードも球の切れも体の柔らかさも自分とは全く違う。持久力、瞬発力も自分とは比較できない。全てを兼ね備えている」。自身をはるかに超える潜在能力を感じた。

 そんな言葉を知る由もなく、マウンドの21歳は緊張でガチガチだった。「(捕手の)後ろでたくさん見られた中で、凄く力が入って緊張した」。組分けの都合で同時間帯に投げる選手はおらず、侍ジャパンの首脳陣、ドジャースの編成部門一行、評論家らの視線を独占。中でも、16日に初対面したダルビッシュの前で初めてのブルペンで「いい球を投げないとなと思い、力みながら投げてしまいました」と振り返った。

 最速は156キロ。前日のダルビッシュと同様、球の軌道などを測定する機器「トラックマン」の数値を確認しながら投げた。変化球を交えて37球。終えるとすぐにデータ解析スタッフを交えて3人で数値を確認し合った。

 劇的な進化を遂げていたのがスライダー。合宿初日の17日、ダルビッシュに握りやリリースの指先の使い方、意識を約40分教わった。横曲がりが大きくなり、沈まない。数値に興味を持って確認した日米通算188勝右腕も「いわゆる米国でいう“スイーパー”という立派なスライダーだよ」と声をかけた。米球界で流行中の球だ。

 他の選手と練習のタイミングがずれたことで、佐々木朗は思いがけずダルビッシュを計1時間も「独占」。単独で投球チェックを受け、2人で並んで座って他の投手のブルペンを見学した。初めて山本の球を正面から見て「何の球種だった?」などと会話が弾む。夢のような時間だった。

 抜けるフォークもあったが、ダルビッシュには「凄いものを持っている」と称賛された。一方で、本人は「スライダーは良かった。自分のものにできている。ストレートは指の掛かりが良くなかったり、フォークも抜けが良くなかった」と冷静に現状を分析。わずか2日で「スイーパー」を投げた非凡な対応力で、本番に向けて全ての精度を高めていく。(神田 佑)

 ▽スイーパー 縦に落ちずに、横に大きく曲がるスライダーで、メジャーでは20年ごろから流行している球種。一般的には「10インチ(約25センチ)以上横に曲がり、4インチ(約10センチ)以上落ちない」と定義される。近年ではスライダーの握りを変えて「スイーパー」にする投手が増えており、ダルビッシュは使い手の一人として有名。他にスライダーの派生型では、カーブとの中間球である「スラーブ」、カットボールに近い「スラッター」がある。

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