山本由伸ら4人の投手が得るであろう9桁ドルの大型契約はリスクも高い 近年の失敗例振り返ると

2023年11月23日 13:52

野球

山本由伸ら4人の投手が得るであろう9桁ドルの大型契約はリスクも高い 近年の失敗例振り返ると
フィリーズのノラ(AP) Photo By AP
 フィリーズのアーロン・ノラ投手が7年総額1億7200万ドルでサインしたが、このオフは山本由伸、ブレイク・スネル、ジョーダン・モントゴメリー含め4人の先発投手が、米ドルで9桁の大型契約を受け取ると予測されている。
 しかし、こういった契約はリスクも高い。スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のジム・ボーデン記者は「4人の契約は合計すると5億ドルから7億5000万ドルに上るが、おそらく保険でカバーされない。金額が大きすぎるため、かける保険料も高額になるからだ。ゆえに途中で大きなケガがあったり、能力が落ちても球団は最後まで払い続けないといけない」と指摘している。そして近年上手く行かなかった大型契約の例を挙げている。

 まずはレンジャーズのジェイコブ・デグロムの5年総額1億8500万ドル。1年目からひじをケガし、23年はわずか6試合登板、トミー・ジョン手術を受けたため、24年は復帰できても9月になり、その時には既に36歳になっている。契約が切れるのは40歳の時で、元を取るには30代後半の3年に、1シーズン6000万ドルレベルの活躍を期待したいが、それは無理がある。

 ヤンキースもカルロス・ロドンと6年総額1億6200万ドルで合意したが、1年目は14試合に先発し、3勝8敗、防御率6・85だった。ロドンはメジャー在籍8シーズンで、140イニング以上を投げたのは2度だけ。今後もケガの心配が付きまとう。

 レッドソックスのクリス・セールは19年の3月に5年総額1億4500万ドルで契約延長。1年目の19年は6勝11敗、防御率4・40の不成績だった。オフにトミー・ジョン手術を受け、20年は登板できず、21年も9試合のみ。22年も他のケガで2試合しか投げられなかった。23年は20試合に先発したが、6勝5敗、防御率4・30の平凡な成績。契約はあと1年で切れる。

 ナショナルズのスティーブン・ストラスバーグは19年オフに7年総額2億4500万ドルでサインしたが、20年から22年の3シーズンはケガに苦しみ、通算でわずか8試合の登板、31・1イニングで1勝4敗だった。胸郭出口症候群で今年8月に引退を発表している。ナショナルズは4年間総額1億4000万ドルを払ってきた。

 同じくナショナルズのパトリック・コービンは6年総額1億4000万ドルの契約で1年目の19年はナショナルズの世界一に貢献した。しかしながら20年以降は成績は急降下、3年連続ナ・リーグで最多負け星を記録している。再建に入ったナショナルズはトレードしてしまいたいのだが、引き取り手はいない。

 レッドソックスのデビッド・プライスは7年総額2億1700万ドルでサインし、16年と18年は活躍したが、他のシーズンは期待外れだった。

 一方でヤンキースのゲリット・コール、ナショナルズのマックス・シャーザー、アストロズのジャスティン・バーランダーのように、9桁の大型契約に応える働きをした投手もいる。ボーデン記者は「気を付けないといけないのは、過去に安定した成績を残せてこなかった投手に、長期の大型契約を与えてしまうこと。代理人はそういった29歳、30歳の投手はイニング数が少なく投げすぎていないのがプラス、これからうまく行くと説明するが、ロドンやコービンは必ずしもそうなっていない」と指摘している。

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