過剰なフレーミング 高校野球などでは「御法度」 最後の夏に泣かないために「谷繁氏を手本に」

2024年04月24日 23:05

野球

過剰なフレーミング 高校野球などでは「御法度」 最後の夏に泣かないために「谷繁氏を手本に」
中日時代の谷繁 Photo By スポニチ
 近年の野球界でよく聞くようになった「フレーミング」というワード。明確な定義はない。捕手のキャッチング技術の1つで、「際どいストライク投球をストライクと球審に判定させるための捕球技術」、「球審がストライクと判定しやすい方法で投球を受ける捕球技術」などと言われている。記者は11年から16年までNPB審判員を務め、20年からはアマチュア野球担当記者を務めている。審判員経験者としての考え、そしてアマチュア球界の動きから「フレーミング」について記したい。
 「ストライクをストライクに」が大前提のはずのフレーミング。ただ、一部のプロ野球の捕手は捕球した地点から大きくミットを動かすことで、結果的に「ボール球をストライクに見せる」ようなキャッチングになってしまっている。これには現場の審判員も「判定しにくい」と不満を持っている。フレーム=ストライクの枠。球審を騙してストライクを奪おうとするミットの動きは、もはやフレーミングとは呼べない。そしてアマチュア球界においては禁じられている行為だ。

 2018年1月に全日本野球協会、アマチュア野球規則委員会は「ベンチ前のキャッチボールの禁止および“ミットを動かすな”運動の展開について」を発表。その中で「我が国の野球界全体で取り組むべき課題」として挙げられていたのが「“ミットを動かすな”運動の展開」だ。原文から該当箇所を引用しよう。

 「投球を受けた捕手が、“ボール”をストライクに見せようとする意図でキャッチャーミットを動かしたり、球審のコールを待たず自分でストライクと判断して次の行動に移ろうとしたりすることについては、審判員の判定を欺いたり、審判員を侮辱する行為に相当するとして、2009年の当委員会からの通達により、このような行為を止めさせる運動を展開しています。しかし、この運動が徹底されているとは言えないのが現状と言わざるを得ません。マナーアップ・フェアプレイの両面から止めさせる運動を継続して指導するよう一層の徹底・ご指導をお願いいたします」 (1)捕手が投球を受けたときに意図的にミットを動かすこと。

 上記の通り、アマチュア球界では、“ボール”をストライクのように見せる動きがはっきりと禁止されている。選手が「良かれ」と思っていてやっていたことが、いざ公式戦になって「球審から注意された」なんてことにはならないように注意が必要だ。高校、大学、社会人の中で最もプレー人数の多い高校野球選手にはより多くの周知が必要になる。「最後の夏に“注意”でリズムを崩した」ようなことは現実に起きてほしくない。

 ストライクゾーンの「フレーム」の中でミットを止める「フレーミング」ならば球審も大歓迎だ。お手本にすべきは元中日の谷繁元信捕手。ストライクの投球はしっかりとミットを止め、ボール球には無理矢理ミットを動かすようなことはしない「フレーミング技術」の持ち主。1軍を担当するNPB審判員たちも、その卓越した技術を大絶賛していた。

 近い将来、プロ野球においては、機械による投球判定が導入されるだろう。それでも資金的に乏しいアマチュア球界では導入は非現実的。これからも人が球審を務めるからこそ“ミットを動かすな”の浸透は重要だ。「ストライクはストライク、ボールはボール」であることが求められる。
(元NPB審判員、アマチュア野球担当記者・柳内 遼平)

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