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野村謙二郎氏 阪神・村上は広島の1カ月前の“残像”にリズムを崩した

2024年08月10日 05:15

野球

野村謙二郎氏 阪神・村上は広島の1カ月前の“残像”にリズムを崩した
<神・広>3回、坂倉(左)の打球をはじいて適時内野安打とする村上(撮影・北條 貴史) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神3―6広島 ( 2024年8月9日    京セラD )】 【野村謙二郎 視点】阪神の村上は3回、先頭の秋山に右前打を浴びると、続く野間にもカウント2―2からの6球目を中前打されて無死一、二塁のピンチを迎えた。この間、何度も、けん制球を入れている。
 これには伏線があった。7月4日のマツダスタジアムでの対戦。その初回、先頭の秋山に初球を右前打された後、2番・矢野にも初球にヒットエンドランを仕掛けられた。この時は矢野は空振りも、結果的には秋山が二盗に成功し、さらに捕手・梅野の悪送球で無死三塁。矢野の右前打で広島が先制した。この試合ではさらに4回無死一塁で打者・野間の初球にヒットエンドランで左前打。阪神エース格の村上に対し、広島がガムシャラに近いくらいに“動いて”攻略してきた経緯があった。

 だからこそ、この日の村上は警戒して当然だった。しかし広島は一転、動かなかった。一度だけカウントが2―2になった時にランエンドヒットを仕掛けたが、ファウル。1カ月前に植え付けた残像を逆手に取り、“行くぞ、行くぞ”というポーズだけでプレッシャーをかけ、リズムを崩した村上に5回までに99球も投げさせた。これが勝因だろう。

 一方の広島先発の森は、先制点をもらった後はテンポよくアウトを重ねた。真っすぐにキレがあったし、カットボールもチェンジアップも有効だった。5回に味方失策があって1失点したが、5回を自責0。優勝を争う相手に、しかも敵地で、昨年のMVP投手に投げ勝ったのは、期待以上だろう。広島にとっては、とても大きな1勝になった。 (スポニチ本紙評論家)

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