田中、国内最速タイ2階級制覇 尚哉に並んだ8戦目
2017年01月01日 05:30
格闘技
「出来すぎ。2階級王者を目指してやっているわけではないけど、強い選手に勝てたことがうれしい。じいちゃんもこうやってリングに来てくれたので…」。リング上にはミニマム級で初防衛した1年前に続き、15年11月に死去した祖父・健裕さん(享年73)の遺影を小学3年の妹・杏奈さんが持って登場。生前、毎試合応援に来てくれた亡き祖父にささげる2つ目のベルトでもあった。
試合序盤から「予想よりかなり良かった」と相手より自身が上回っていると感じた。それでもフエンテスは簡単には倒れない。「心を折ってやろうと思った」とコツコツと顔とボディーに有効打を打つ作戦に出た。「相手が立てなくて倒れるのではなくて、自分の意思で倒れるように仕向けました」。5回に右ストレート、左フックと連打でロープ際で攻め立てるとスタミナ切れした相手は戦意喪失。畑中ジムの先輩である杉田竜平さん、中京高時代の恩師・石原英康さんの2人がいずれも世界王座獲得を失敗した岐阜で勝利を飾り「すいません、俺は勝ちました!」と、してやったりの表情も浮かべた。
「同階級に日本人王者がいる。こういうチャンスがあるのでやってみたい」。今後の目標は八重樫東ら日本人王者との対戦。畑中会長は「近い将来、そういう大きい試合を狙ってます。挑みます」と宣言した。最終目標は5階級制覇という田中にとって、この勝利はあくまで「通過点」。“中京の怪物”は正真正銘の全国区になるべく17年をさらなる飛躍の年にする。
◆田中 恒成(たなか・こうせい)1995年(平7)6月15日生まれ、岐阜県多治見市出身の21歳。中京高―中京大。小5で競技を始め、高校4冠。アマ通算46勝5敗。高校3年だった13年夏の総体後に畑中ジムに入門、9月にプロテストB級合格。同年11月デビューから4連勝で東洋太平洋ミニマム級王座、15年5月にWBO世界ミニマム級王座を獲得し、1度防衛。16年からはライトフライ級に転向。1メートル64・1。右ボクサーファイター。