大森「怒りと残念」 タパレス計量失敗、王座剥奪に軽蔑まなざし
2017年04月23日 05:30
格闘技
フィリピンのサウスポーは何もかもがでたらめだった。調印式の23分前は未調整の体重計での計測でリミット(53・5キロ)から550グラム超。ランニングに出て調印式をすっぽかすという愚行も1時間半後の前日計量は54・3キロで800グラム超過に変わっていた。
「2時間以内」という猶予を与えられ臨んだ再計量は、54・4キロで900グラム超。全裸だった前者と違い、後者はパンツ姿とはいえ、サウナで過ごした後に100グラム増は解せない。量るたびに増量という恥をさらけ出して、ベルトを失った。
国内の世界戦では、13年に亀田大毅とのIBF、WBAスーパーフライ級統一戦に挑んだソリスが体重超過。それ以来となるボクサー最大の背信行為を働き、「前の試合から7カ月間空き、体が大きくなりすぎた」と言い訳した。ウォズジムの大森昌治会長によると、20万ドル(推定、約2180万円)のファイトマネーのうち、違約金は「その1割」で済むという。
最大の被害者である大森は不運続きだ。昨年末はIBF世界バンタム級王者ハスキンスの負傷によって世界戦が消滅していた。タパレスには2回TKO負けをした2年前のリベンジの思いが強かった。「54・3キロと聞いた時はイラッとした」と口にしつつ、「勝負事は怒りや熱くなった方が負け」と言い聞かせた。
WBOのルールによって、大森が勝てば新王者、引き分けと負けなら空位になる。既に前王者が1・1キロ重いということは当然、パンチも重くなる。過去には亀田大毅も粟生隆寛も減量に失敗した相手に敗れている。不利な状況だが、勝てばベルトという条件だけは変わらない。
【体重超過アラカルト】
☆13年12月3日 IBF世界スーパーフライ級王者の亀田大毅と、WBA世界同級王者のソリス(ベネズエラ)との統一戦でソリスが前日計量で体重超過。亀田が勝てば統一王者、負ければWBA、IBFとも空位と発表もソリスが勝つとWBA王座は空位で亀田のIBF王座は保持と“訂正”。
☆15年5月1日 粟生隆寛のWBO世界ライト級王座決定戦で、相手のベルトラン(メキシコ)が前日計量で180グラムの体重超過。粟生が勝てば王座獲得という条件だったが、2回TKO負け。後にベルトランの薬物違反が発覚し無効試合に。