全日本プロレス渕正信 輪島さんをしのぶ 元横綱でも「一からやり直す覚悟が見えた」
2018年10月10日 20:10
格闘技
6人タッグマッチ後に取材に応じた渕は「70歳は早い。驚いた」と声を沈めた。豪快な性格で知られた輪島さんだが、裸一貫となってプロレス界に飛び込んできた元横綱は「入団した時からそういう(元横綱という)気持ちでなく、一からやり直す覚悟が見えた」と実直な姿勢が脳裏に焼き付いているという。練習でも「ウエートトレーニングや受け身から、必死にやっていた」そうで、「胸を打つものがあった」と振り返った。
食事やお酒を共にする機会も多かったそうで、プロレス界では先輩の渕だが、財布を出すのは決まって輪島さん。借金が原因で相撲界を追われていただけに、ある時「お金、大丈夫ですか?」と尋ねると、『渕くん、食事中はカネの話をするな』と笑いながら一蹴された。「心配させまいという豪快さがあった」と故人をしのんだ。
今年は相撲界やプロレス界に限らず、昭和を彩った各界のスターが相次いで亡くなっている。リングではまだまだ現役バリバリの渕も「いろんな世界で昭和の名残のある大人物がいなくなるね」と寂しげに言い残し、ロッカールームへ消えた。