【井岡と一問一答】腫れた顔で登場「序盤に結構もらい出した時に覚悟」「一戦の重みが今までと違う」

2019年12月31日 20:48

格闘技

【井岡と一問一答】腫れた顔で登場「序盤に結構もらい出した時に覚悟」「一戦の重みが今までと違う」
<トリプル世界戦>試合後笑顔の井岡(撮影・島崎忠彦) Photo By スポニチ
 ボクシングのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦は31日、東京・大田区総合体育館で行われ、4階級制覇の王者・井岡一翔(30=Reason大貴)が同級1位の挑戦者ジェイビエール・シントロン(24=プエルトリコ)に3―0で判定勝ちし、初防衛に成功した。試合後の井岡との一問一答は以下のとおり。
 ――凄い顔ですね。

 「はい。もう、序盤に結構もらい出した時に覚悟を決めましたね」

 ――どういう覚悟。

 「少々もらっても行くしかないという」

 ――距離感をつかんだのはどのあたりか。

 「序盤4ラウンドまでは相手が元気なのも分かってましたし、スピード、テクニック、想像している中でこの試合を迎えて、いざ4ラウンドぐらいやってみて、やっぱり想像以上にスピード速かったし、距離も長かったし、強かったですけど、気持ちを切らすことなくセコンドの指示に従いながら、やってきたこと、準備してきたことを自分のパフォーマンスとして実行しながら進められたと思います」

 ――どのあたりを出し切れた。

 「相手をしっかりプレッシャーをかけて追い込んで、ヤマ場というか、自分がしっかり打ち込む場面をつくれたのが良かったと思います」

 ――リング上で涙を流した。

 「一戦一戦、自分の中で、みなさんが想像している以上に、これは僕個人のことで別に周りの方に分かってほしいとかいうのはないんですけど、一戦一戦挑む中で、今回は息子も生まれて、1つ1つ変わってきてるんで。そこがやっぱり、一戦一戦の重みが今までと違うなと。長くやるつもりもないし、今日もやりながら“これだけもらったら選手寿命縮まるな”と思いながらやっていたので。でも、その一戦に懸ける思いというのが、今までの経験でもそうですけど、過去2敗して、“ここで行かなかったな”というのを今日も思い出してやったんで。この一戦のしっかり重みをしっかり感じながら戦えたんで、勝利につながったのかなと思います」

 ――これで2019年を締めて、2020年へ向かう。

 「勝ったことで次につながったんで。とりあえず2019年の最後の日に勝利できたことが、僕の中で2020年を迎えられたなって気持ちです」

 ――相手のパンチ力は。

 「なくはなかったですね。でも、そんなむちゃくちゃ効くほどは効いてないですけど。僕もたぶん、打たれ弱い方ではないので。でも、メキシコ製のグローブ、僕も使っているグローブなんですけど、ムチャクチャ痛かったです」

 ――序盤ペースをつかめなかった原因は。

 「相手の距離、スピード、当てるタイミングが素晴らしかったですね」

 ――想定より?

 「想定よりも」

 ――4、5回からペースが変わった。切り替えの意識は。

 「それはやる前から思ってたんで。(最初の)4ラウンドは最悪(相手に)あげても、空振りさせて、少しでも体力を削ろうっていう考えだったので。そこから8ラウンド全部取れば、それで勝つと思っていたので。そこの気持ちの持ちようというか、後半8回は全部取るっていう。それは(五輪2大会連続金メダリストの)ロベイシ・ラミレス(キューバ)とスパーしていても、結構パンチ、初めてスパーリングでもらったなというぐらいパンチもらったんで。そこが、あんまり(序盤に)もらっても動揺がなかったというか、もらうことはいけないことですけど、もらって、どうするのかというのを考えながらやってきたんで。もらっても動揺することなく自分の動きに、プレーに集中して、やっていけたことが今日の試合に、勝利につながったなと思います」

 ――ある程度序盤は被弾は覚悟で。

 「(覚悟は)してましたけど、想像以上にもらいましたね」

 ――プレッシャーのかけ方に工夫が見えた。狙いは。

 「サラス・トレーナーと佐々木トレーナーの指示というか。一番メーンはサラス・トレーナーが1つの戦略として、(相手は)足を使うからフェイントをかけながら、一直線じゃなくサイドへサイドへ追って。それでもできないところ多かったですけど。気持ちが先走ったというか。打ち気に行きすぎたところもあるけど、やってきたことはできたんじゃないかなって。サイドに追って、フェイント使って」

 ――大きめのフェイントを使っていた。

 「そうです。相手も完全にカウンターパンチャーというか、あまり気持ちの強い選手ではないので、フェイントでガードさせて、その上に打ち込むというイメージ」

 ――中盤はボディーが効いていた。手応えは。

 「ありましたけど、やっぱりそこからクリンチだったりとか、なかなか行ききるのが難しかった。それはもう、今までの試合でもあるけど、どうしても効いている相手に向かって単調になりがちというか、逆に頭が単純になっちゃう。弱っている相手を見て、一発当たれば倒れるっていう考えなのか、一発で終わっちゃったりとか。その考えが単調になっちゃいましたね。そこは素人感覚で、殴ってくるという相手に、怖いって思ったらガードできちゃうわけじゃないですか。人って。そのパターンになっちゃったというか。だから打ちたいけどクリンチされるし、でも1で終わってるから。2につなぐのが遅かったりとか。でももう、あまり考えすぎずに、目の前の相手に打ち込むっていう、最後は逆にシンプルにいってました」

 ――流れが変わったと自分で感じたのは。

 「たぶんそれぐらいじゃないですかね。あまりラウンドは意識してなかったですけど。自分のプレーに集中して。パンチが的確に当たり出してきたのが、たぶんそれくらいじゃないですかね」

 ――11回ぐらいにニュートラル(コーナー)に行った時に歓声が上がって、合図していた。あのへんの心境は。

 「やっぱ、ああやって僕のコールしてくれて。凄いやっぱり、残り2ラウンドって短いようで長いし、僕たちに厳しい展開ですよ。だからああいう声援もらって、力をもらいましたね。やっぱ、日本人としての大和魂を見せないといけないのかなと」

 ――世界戦の厳しさを見せつけたいと言っていた。

 「それは覚悟してましたね。自分の中でも。逆にたぶんKOできないなと思っていたので。だからこそ、フルラウンドを戦う戦い方を意識して、その中でKOが生まれたらいいなと思っていましたけど。でも、あのスタイルで、ああいうクレバーなことをやってきている、テクニックも凄い、僕はああいう、選手としては素晴らしい選手と思いますけど、ああいう選手にチャンピオンになってほしくないので。僕はチャンピオンとしてぜったにベルトを渡したくなかったです」

 ――最後ゴングが上がった瞬間に両手を上げた。勝ったと思った?

 「というよりかは、出し切ったと思った。僕2敗してますけど、(判定)2―1で割れて、凄く後味悪い負け方をしたんで。勝ち負けはもちろん大事ですけど、一番は出し切ること。少しでもプレー、パフォーマンスを楽しむこと。たぶんあまりこの先、ボクシング人生も長くないので。終わりに差し掛かってきていると思うので。どちらかというとね。今までもう10年間やってきて。出し切って、やりきって負けてしまったら、納得はできないかもしれないけど、あまり“たられば”はないと思う。そういう戦い方をしたいという気持ちが強かったです」

 ――あの瞬間は出し切ったと。

 「だし、勝ったかなと思いましたね」

 ――今日は泥臭いというか、今までの井岡一翔のイメージを変えるような戦い方だったのでは。

 「自分の中ではスマートに勝ちたいですよ。でも、ときにはやっぱり、どんな勝ち方でもつかみとらないといけない勝ちがあるし。今回、新たに息子が生まれて背負っている気持ちもあるし。皆さんも知っていると思いますけど、飯も食わさないといけないので、家族に。チャンピオンとして家庭を養っていく、父親としても。いろんな気持ちがあるんで。どんな勝ち方でも勝たないといけないという気持ちはあります。一番はカッコ良くパフォーマンスして勝ちたいですけど」

おすすめテーマ

2019年12月31日のニュース

特集

格闘技のランキング

【楽天】オススメアイテム