武尊が涙…「心から申し訳ない」 K-1王者が反則の投げ技…全て出し切るも10年ぶり2敗目 去就は未定
2022年06月20日 05:30
格闘技
「実現できなければ格闘技ごとやめる」とK―1オーナーに直談判したこともあるほど熱望していた対戦だった。ここへたどり着くまで約7年、団体の垣根を越える難しさがあり、実現できないことで自身への誹謗(ひぼう)中傷もあった。「今日までたくさん苦しんだ。今日だけは思いっきり楽しむ」。試合開始のゴングを聞くと、それまで一点を見つめて集中していた武尊の表情は一変した。
念願だった那須川と対峙(たいじ)している瞬間を楽しもうと笑った。壮絶な打ち合いを繰り広げている時、強烈なジャブを顔面にもらった瞬間でさえも笑顔。だが、力んだパンチは大振りで空を切り、1Rでダウンを取られた。2Rでは反則の投げ技を繰り出し口頭注意も受けた。劣勢は明らかだったが、誇りと意地で最終3Rも最後まで前に出続けた。持っている力と技を全て出し切った9分間だった。
リングを後にすると笑顔は消え、涙に暮れた。「負けたら“死”と一緒。試合後の予定は何も考えていない」と前日会見で語っており去就は未定だ。集大成と位置付けた戦いで死力を尽くし、10年ぶり2敗目を喫したK―1王者。「実現へ動いてくれた人たちと支えてくれた人たちと、対戦相手の天心選手に心から感謝しています」と声を絞り出し、最初で最後の夢舞台を後にした。
【武尊(たける)】
☆生まれ 1991年(平3)7月29日生まれ、鳥取県米子市出身の30歳
☆身長 1メートル68
☆所属 SAGAMI―ONO KREST
☆格闘技歴 小2で空手を始め、高校進学後にキックボクシング転向。11年9月、KrushでK―1デビュー
☆戦績 キックボクシング42戦40勝24KO2敗
☆主なタイトル K―1 WORLD GPスーパーフェザー級王者
☆入場曲 Touchin’ On My/3OH!3
☆趣味 ギター
☆ニックネーム ナチュラル・ボーン・クラッシャー
《過去の「世紀の一戦」】
☆アントニオ猪木VSムハマド・アリ(76年6月26日、日本武道館)異種格闘技戦。プロレスの動きを一切禁じられた猪木はマットで寝転び、キックを見舞う奇策に終始。アリも有効打を出せずにドローに終わった。
☆プロレス夢のオールスター戦(79年8月26日、日本武道館)全日本、新日本、国際が協力して開催。猪木とジャイアント馬場の対戦が期待された中、「BI砲」が復活してブッチャー、シン組を破ったが、試合後に猪木が直訴した馬場戦は実現しなかった。
☆薬師寺保栄VS辰吉丈一郎(94年12月4日、名古屋市総合体育館)プロボクシング初の日本人同士の世界王座統一戦。試合前は激しい舌戦に加えて興行権入札が話題を集め、薬師寺陣営が3億4200万円(当時)で落札。WBCバンタム級正規王者の薬師寺が同級暫定王者の辰吉に2―0判定勝ち。
☆Dynamite!(02年8月28日、国立競技場)K―1と猪木による史上初の国立競技場での格闘技興行。観衆約9万人。柔道五輪金メダルの吉田秀彦が格闘デビューし、ホイス・グレイシーに勝利。メインはミルコ・クロコップが桜庭和志にTKO勝ちした。
☆魔裟斗VS山本“KID”徳郁(04年12月31日、大阪ドーム)総合格闘家・山本の宣戦布告にK―1王者の魔裟斗が応じ、K―1ルールで対決。初回に山本が左フックでダウンを奪うも、魔裟斗が倒し返して2―0判定勝ち。瞬間最高視聴率31・6%で民放初の“紅白超え”を果たす。
☆ゲンナジー・ゴロフキンVS村田諒太(22年4月9日、さいたまスーパーアリーナ)プロボクシングのWBAスーパー&IBF世界ミドル級王座統一戦。興行規模は日本ボクシング史上最高で、推定ファイトマネーはゴロフキン15億円、村田5億円。序盤は村田が善戦もゴロフキンが9回TKO勝ち。
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