那須川天心と国枝慎吾氏 ナンバーワンの引き際と新たな挑戦

2023年02月10日 14:13

格闘技

那須川天心と国枝慎吾氏 ナンバーワンの引き際と新たな挑戦
プロテストに合格した那須川天心 Photo By スポニチ
 【君島圭介のスポーツと人間】那須川天心が後楽園ホールでプロボクシングのライセンス試験を受けた。6回戦デビューが保証されるB級に一発合格。スパーリングの映像を見れば本気さが伝わる。
 主戦場にしてきたキックボシング用の肉体を捨て、鮮やかにボクサーの体に作り替えてきた。似て非なる2つの競技において、天心は「重心」の違いを口にした。重心を変えるということは長年かけて築きあげた土台からすべて変えてしまうということだ。完成されたアスリートとして結果も出し続けている中、これほど勇気が必要なことはない。

 キックを中心に格闘技戦績は47戦全勝。王者としての地位を確立し、その明るい性格と頭の回転の速さで、大人からも子供からも絶大な人気を誇っていたが、そこから退くことの意味は何だろう。それを考えると先日の現役引退会見での車いすテニスの国枝慎吾氏の言葉に行き当たった。

 国枝氏は世界最強という立場について「1位になると誰の背中も見えないという難しさがある。現状維持は相対的には衰退してしまいます」と語った。

 キックボクシングもテニスも対人競技。努力や成長は相対的に測るしかない。車いすテニスで世界ランキング1位のまま引退した国枝氏と天心は先頭を独走する中で同じ孤独と苦しみを抱えてきたのではないかと思った。

 国枝氏の競技生活をサポートしてきたユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正社長は、引退会見に同席して「新しい国枝慎吾の誕生という意味で今日はめでたい日」と称えた。

 プロボクシングのライセンス試験に合格した天心にも同じ言葉がよく似合う。

 「新しい那須川天心の誕生という意味で今日はめでたい日」

 世界の強豪の背中を見ながら、天心の新たな戦いが始まる。もし、その視線の先に階級の近い井上尚弥がいるとしたら…。こんな胸高鳴るロマンがあるだろうか。(専門委員)

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