度肝を抜いた88、90年のボクシング界ビッグイベント 井上尚弥が東京Dに呼ぶタイソン以来の熱
2024年05月04日 04:55
格闘技
試合日は88年3月21日。会場は新たに完成した東京ドーム。タイソンの相手はタッブス。両者のファイトマネーは、タイソン500万ドル(当時約6億5000万円)、タッブス80万ドル(同約1億400万円)がそれぞれ最低保証された。バブル期であったにしても、興行総経費1000万ドル(約13億円)は当時、想定をはるかに超えるものだった。
チケット価格は最も高いリングサイド特別席が10万円に設定された。こんな席が売れるのか?という中、何とこの席から売れ始めた。タイソンはタッブスに2回TKO勝ちし、2年後の90年には再び東京ドームでダグラスと戦い、世紀の番狂わせとなる歴史的KO負けを喫した。明と暗を演じたタイソンの東京ドーム2大決戦。34年前の東京ドームは、まぎれもなくラスベガスと化し、会場を埋めた5万人超の観客は、金銭では換算できない非日常的な夢に酔いしれた。
東京ドームのリングに立ったタイソンが残したものは、会場を包み込んだすさまじい熱気=プロボクシング界の活性化だった。タイソンが持っていたスーパースターとしての資質に勝るとも劣らない井上もまた今回、その役割を存分に果たしてくれると思う。(スポニチOB、元ボクシング担当)
▽1988年3月21日 日本初の屋根付き球場、東京ドームのオープニングセレモニーから4日後、21歳の世界ヘビー級王者タイソンは元WBA王者のトニー・タッブス(米国)と対戦。2回に左フックで衝撃のKO勝利を挙げた。わずか354秒での圧勝劇だった。
▽1990年2月11日 デビュー37連勝中の王者タイソンはWBA4位、WBC3位のジェームズ・ダグラス(米国)と対戦。8回に右アッパーでダウンを奪ったが、10回に逆に右アッパーから連打を浴びてダウンし、10カウントを聞いた。タイソン陣営の「8回(のダウン)はカウントが長すぎる」との抗議で一度は結果保留となったが、その後、ダグラスの王者が認定された。“世紀の番狂わせ”と呼ばれた。
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