強すぎる中谷潤人 拓真陥落で「“Who’s next(次は誰)?”」統一戦の先に尚弥戦が現実味
2024年10月15日 04:30
格闘技
フライ級時代の19年6月以来、約5年4カ月ぶりとなるサウスポー対決も苦にしなかった。攻撃的なペッチに対し防御重視で入ったものの、相手のパワーを見極めると接近戦で右アッパーを連打。6回、左フックを起点にダウンを奪い、最後は左ストレートで仕留めた。試合前のロサンゼルス合宿では右アッパー、“マロニーパンチ”と名付けたかぶせの左、左ボディーと3種類の倒すパンチを磨いたが、少しサイドへずれてからのアッパーなど展開に応じてアレンジ。唯一敗れた18年12月の井上拓戦も判定まで粘った相手を「しっかり倒して勝てたことはよかった」と納得の表情をのぞかせた。
対戦を希望していた井上拓が堤聖也に敗れたため、統一戦プランは白紙になった。試合の映像をチェックしておらず「流れ的には拓真選手(と統一戦)という空気感はあったけど、流動的な部分なので…」と言葉を濁す一方、「王者になった選手とやっていくことが目標。評価されている選手とやりたいと思っている」と最強を目指す意思は明確だ。
7月に契約を結んだ米トップランク社のボブ・アラムCEOは、来年の中谷VS井上尚のドリームマッチ実現に乗り気だ。「階級が違うので、まだ挑戦する形ではない」。バンタム級の選手を強調しながらも、井上尚戦をイメージするか?の問いには「イメージすることもありますし、ルディ(エルナンデス・トレーナー)からもアドバイスをもらうので意識的になった部分はある」ときっぱり明言した。バンタム級時代の井上尚をほうふつさせる強さへと進化を遂げている“ネクストモンスター”。勝負ができる次の相手は、果たして誰になるのか。 (中出 健太郎)
▽中谷―ペッチVTR 中谷が攻勢を強めた6回にTKO勝ち。序盤から距離感をつかんでジャブを当て、相手が出てきた際はカウンターを当てた。6回は左フックを当ててからのラッシュで最初のダウンを奪った。ラウンド終了間際に強烈な左ストレートを打ち込んで再び倒すとレフェリーが試合を止めた。ペッチは接近戦で果敢に打ち合ったが、主導権を握れなかった。
◇中谷 潤人(なかたに・じゅんと)1998年(平10)1月2日生まれ、三重県東員町出身の26歳。小4から空手を始め、中1でボクシングに転向。U―15全国大会を2連覇した。中学卒業後に単身渡米してルディ・エルナンデス氏に師事し、17歳でプロデビュー。16年全日本フライ級新人王、19年日本王座を獲得。20年11月にWBO世界フライ級王座を獲得。23年5月にWBO世界スーパーフライ級王者となり2階級制覇。今年2月にWBC世界バンタム級王座を獲得し3階級制覇。身長1メートル72。左ボクサーファイター。