初めて部下を持った…“導く立場”のアナタへ「マネジメントの無免許運転してませんか?」
2024年11月01日 05:00
芸能
「部下や後輩を持つことになる人は、大体がプレーヤーとして仕事ができる人。ですがいざマネジャーになると、マネジメントのやり方を学ぶ場がない。やったことがないスポーツなのに、いきなり試合に出てみろ!って言われてるようなものです。なので自分の仕事のやり方を基準に指導しますが、うまく伝わらず空回りすることも多いと思います。これこそが無免許運転の状態です」
――自分流のやり方を押しつけることが“無免許運転”?
「“名選手、名監督にあらず”ってよく野球とかで言いますよね。マネジメントも同じで、優れたプレーヤーが優れたマネジャーになれるかは別。チームや企業は『バス』に例えられることが多く、マネジャーは『運転手』、メンバーは『乗客』と言えます。『乗客』を正しい方向へ導くためにも、『運転手』は『バス』を動かすための技術が必要。技術なしでは『バス』も道に迷いますし、時に『乗客』をケガさせてしまうかもしれませんよね」
――そう思うのはなぜですか?
「私の失敗経験からです。本格的にマネジメントに従事し始めた時からの約5年間、自分の部下が次々に異動や離職、体調不良になりました。マネジメントを学ぶ場がなく、それこそ我流を押し通してしまった結果です。そんな中で出会ったのが、選択理論心理学を基にしたリードマネジメント。部下を導いて、チームを良くするための方法や道順を知ることで、私自身のマネジメント、そして周囲の空気が良くなったと感じています。自転車とか、一度コツをつかめば誰でも乗れるようになりますよね?マネジメントも同じようなイメージです」
――選択理論心理学とはなんですか?
「米国の精神科医、ウイリアム・グラッサー氏によって提唱され、世界60カ国で学ばれている心理学です。アドラー心理学ほど有名ではありませんが、カウンセリングや学校教育の分野で知られています。“人はなぜ、いかに行動するのか?”という人間の脳の働きについて説明しているので、性別や国籍、年齢を問わずあらゆる方に適応することができます。この心理学をベースに現場での実践経験や失敗談も加えてまとめたのが今回の書籍です。5章立てにし、部下の成長の支援の方法や、どうやって部下に任せていくのか?とか…教科書のように読めるよう工夫しています」
――上司と部下間でのハラスメントが最近問題になっています。マネジメントを体系的に学ぶことで、そういったことは減りますか?
「間違いなく減ります。ハラスメントの根本的な原因って、人間関係がうまく構築できていない段階で、不用意な発言や関わりをしてしまうことだと思うんです。まずは関係を築く。そのヒントを得ることで、より円滑にマネジメントを行えると思います」
――ハラスメントを気にして、部下に意見できない上司も増えています。
「近年では“やっちゃいけないこと”が伝えられることが多いですが、それでは何をすれば良いのか分からず、がんじがらめです。部下を放任することも、ある種のハラスメントになってしまうことがある。部下や後輩を“導く立場”であることを全うしつつ、チームとして仕事を進める。そんな組織づくりを目指したい方にぜひ、読んでほしいです」
――本は9月に出版。オフィス街にある書店のビジネス書部門などで軒並み1位を獲得するなど好評です。これから手に取る方にメッセージをお願いします。
「人が2人以上集まれば組織になります。まずはマネジャーが部下から勝ち取るべき尊敬、信頼をどう得るかなど、人間関係の構築が必要。そこから発展して、マネジャーに大切なマインド、チーム内で人が育つ土壌作りなどの実践例を盛り込みました。会社員の7割強が管理職になりたくない、という昨今。マネジメントは楽しい、と思ってもらえるようになればうれしいです」
◇橋本 拓也(はしもと・たくや)アチーブメント株式会社 取締役営業本部長千葉大学卒業後、06年アチーブメント株式会社に入社。家庭教師派遣事業を新規事業として立ち上げ、選択理論心理学をベースにした子ども教育事業を展開。その後、経営者やセールスパーソン等の目的・目標達成の支援を行うパーソナルコンサルタントとして活躍し、22年取締役に就任。130名以上のマネジメントに携わる傍ら、マネジメント講座「リードマネジメント・スタンダード」を中心に講師活動も行い、2万名以上の研修実績を持つ。