【ジャパンC】アーモンドアイ 有終9冠で“伝説”に!無敗3冠馬2頭との「世紀の一戦」制し最強証明
2020年11月30日 05:30
競馬
キセキが前半5F57秒9の大逃げ。百戦錬磨の人馬は奇策に惑わず、2番手集団から横綱競馬に徹した。「逃げ馬が速いペースをつくった。一番強い馬が勝つ流れ」。センス、スタミナ、瞬発力の全てが問われる、最強馬決定戦にふさわしい展開になった。先団をキープしたまま、抜群の手応えで直線へ。馬群から抜け出し、100メートル近くリードを保っていたキセキをあっという間に抜き去ると、あとは独走。中団から懸命に差を詰める3歳2頭は2着争いが精いっぱい。格が違った。
「アーモンドのさよならパーティーをエンジョイした。今日のパフォーマンスが彼女のピークだったかも」
天皇賞・秋で号泣したルメールに涙はない。「今日は泣かない。彼女の物語はまだ終わっていないから悲しくない。たぶん、また子供に乗れるから応援して」。愛馬を笑顔で次のステージへ送り出した。
管理する国枝師は、名牝の首筋をいとおしそうに撫でて「本当によく頑張った」としんみり。天皇賞・秋の死闘から中3週の厳しいローテーション。ぎりぎりまで状態を見極め、参戦表明は3冠馬3頭の中で最後だった。
「いい結果がベストだけど、“無事に走り終えてくれれば”というのが本音だった」
指揮官の懸念をよそに、50年後、いや競馬が存続する限り語り継がれるであろう世紀の一戦を制した最強牝馬。「我々はいろいろ心配するけど、それを乗り越えてしまう馬。本当に凄いんだ。いろんな夢をもらったよ」
コロナ下で行われた特別な一戦を制し、史上最多芝G1・9勝、総獲得賞金は歴代最多19億1526万3900円。輝かしい記録だけでなく記憶にも残る名牝は、この日、伝説になった。
◆アーモンドアイ 父ロードカナロア 母フサイチパンドラ(母の父サンデーサイレンス)15年3月10日生まれ 牝5歳 美浦・国枝厩舎所属 馬主・シルクレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績15戦11勝(うち海外1戦1勝) 総獲得賞金19億1526万3900円 重賞10勝目 馬名の由来は美人とされる顔の目の形。
▼後藤正幸日本中央競馬会理事長 きっと後に世紀の一戦と呼ばれるに違いない、素晴らしいレースとなりました。これは無観客競馬が続いた間もファンの皆さまが競馬を楽しみ、応援し続けてくださったからこそと感謝しております。