【チャンピオンズC】カフェファラオ100点!3歳離れの完成度、若き砂王へそびえ立つキ甲
2020年12月01日 05:30
競馬
巨大なピラミッドがいかにして造られたのか、王陵なのか、それとも電磁気のエネルギー装置など別の役割があったのか…など多くの謎に包まれており、世界七不思議の一つに数えられています。四角錐を想起させるカフェファラオのキ甲のように…。
首と背中の間に突起しているキ甲は成長のバロメーター。馬の体高(身長)を蹄の着地点からキ甲までの長さで示すのもそのためです。キ甲に合わせて肩や首差しも発達してくる。キ甲の抜けた時が体の完成期。通常は古馬になって抜け切るものですが、ファラオはなぜか3歳にして…。ダート界の七不思議とまでは言いませんが、歴戦の古馬よりも高くそびえています。古馬相手のG1でも臆する必要はない。なにしろ3歳馬離れした完成度なのですから。
名は体を表すといいます。古代エジプトの王(ファラオ)が砂漠の上に築いたピラミッドのようにバランスの取れた前後肢。トモの大きな筋肉はキ甲と共にたくましく発達した肩や首にも見劣りしません。絶妙な角度の飛節がトモのパワーを余さず推進力に換えています。背、腹下とも短いマイラー体形。2000メートル以上の距離はともかく、1800メートルなら問題ありません。
大地を四肢でしっかりつかんだ立ち姿。正方形の土台をしっかり築いたピラミッドのような安定感があります。顔つきもりりしい。ギザの大ピラミッドの前に鎮座するスフィンクスの石像のように、目と耳を正面の一点に集中しています。砂漠ならぬ砂の上に築かれたグレードレースのピラミッド。馬のファラオもその頂点を目指せます。 (NHK解説者)
◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の76歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。