【七夕賞】トーラスジェミニ 格言通り“時計より動き”、小桧山師10年ぶりタイトルへ進化実感

2021年07月08日 05:30

競馬

【七夕賞】トーラスジェミニ 格言通り“時計より動き”、小桧山師10年ぶりタイトルへ進化実感
Wコースで追い切るトーラスジェミニ(撮影・村上 大輔) Photo By スポニチ
 星の願いをかなえるのは“日本競馬の巨星”の格言を記した短冊だ。「第57回七夕賞」(11日、福島)の追い切りが七夕の7日、美浦、栗東トレセンで行われ、トーラスジェミニが柔らかいフットワークを披露。重賞初制覇へ前進した。送り出すのは故・尾形藤吉氏の格言を実践する小桧山悟調教師(67)。11年東京新聞杯(スマイルジャック)以来10年ぶりの重賞タイトルに手応えをつかんだ。
 攻め馬は屈託なく柔らかい動きがよく、ゴツゴツして肩が崩れた馬はパッとしない。俗に時計より動きという…。“日本競馬の巨星”と呼ばれた故・尾形藤吉調教師が自著「調教の秘密」に残した格言の一節である。半世紀も前に絶版になったこの幻の名著を競馬週刊誌の連載コラムで解説している小桧山師の管理馬が見せたのも格言通りの走りだった。

 おうし座(トーラス)とふたご座(ジェミニ)。星座にちなんで命名された鹿毛が七夕にふさわしい梅雨の晴れ間に美しい被毛をきらめかせながら加速する。2馬身先行したシャークウォーニン(3歳未勝利)を馬なりのまま外から1馬身かわした。Wコース5F70秒4と時計は平凡でも、屈託なく柔らかい動き。「時計より動き…ですよ。尾形藤吉先生の教えを実践できるような馬が出てくれてありがたい。柔軟な動きだから舜(高野舜助手)も調教に乗るのが楽しくて仕方ないようだ。気性も大きく成長してくれた」と、藤吉師のひ孫弟子にあたる小桧山師は口火を切った。

 調教では坂路を恐る恐る1本上るのが精いっぱい。昨年の七夕の頃は誘導役のジョブックコメン(萩本欽一の持ち馬)の後ろをビビりながらついて回った“ノミの心臓”が大きくなったのは欽ちゃん馬が引退した今春。「誘導馬なしに1頭でも行動できるようになったし、坂路と共に下(トラックコース)でも調教できるので運動の絶対量が昨年とは全然違う」。Wコースで威風堂々と伸ばしたフットワークが成長の証だ。

 尾形藤吉師の生誕130年にあたる来年の秋には尾形特別展が競馬博物館(東京競馬場内)で開催予定。この日の調教後に開かれた展示準備委員会には小桧山師も出席した。「尾形藤吉展の成功」と「トーラスジェミニの重賞初制覇」。ひ孫弟子の胸の内につるした七夕の短冊には2つの願い事が記されている。七夕の空に輝くのは“日本競馬の巨星”の格言を地で行く、おうし座とふたご座の1等星だ。

 《戸崎、自ら誕生祝いだ「福島二千合う」》トーラスジェミニの手綱を取るのは、8日に41歳の誕生日を迎える戸崎。七夕賞は自身のバースデーを祝うように16年アルバートドック、17年ゼーヴィントで連勝した相性のいい重賞だ。「七夕賞に行くならぜひ乗りたい」。初コンビを組んだ安田記念(5着)の直後にマネジャーを通じて小桧山師に打診した。「安田記念では返し馬から状態の良さを感じました。4角でも余力があったし、切れないけどしぶとく伸びた」と振り返った戸崎。「福島の2000メートルは合っていると思う。逃げてもいいし、安田記念みたいに番手でも問題ない」と手応えを語っていた。

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