【関屋記念】ロータスランド 重賞初V!夏のマイル王に王手 最内突き抜けた
2021年08月16日 05:30
競馬
「最後1頭になるとフラフラする面があると聞いていたので…。その点だけ気をつけた」
横山典マイスタイルが逃げると、3番手インで悠々と続く。外回り659メートルの長い直線。1日新潟でJRA通算1000勝を達成したばかりの巧腕が光った。粘るスタイルの外でなく、なんと最内へ。ラチ沿いを一瞬で抜け、勝負あった!!
今年のJRA重賞初V(通算36勝目)を飾った田辺からは笑みがこぼれた。
「最初から内を狙ったわけじゃないけど、1頭になったときの癖も聞いていたし、ラチ沿いを走った方が集中できる…と。内から外に出すとロスもあるので」
辻野師は開業5カ月で重賞初V。06年秋から角居厩舎の厩務員や助手として研さんを積み、ウオッカ、ロジャーバローズなど多くの一流馬に携わった。報道陣のスポークスマンとしても快く対応してきた。2月に勇退した角居師から引き継いだ愛馬で大きな1勝。
「角居先生にいい報告ができると思います」
指揮官は静かに笑った。体質強化とともに、引き継いだ3月以降は5戦4勝の快進撃。鞍上、愛馬への賛辞も忘れなかった。「田辺君がこれまでのVTRを見てくれたのでしょう。この子の特長を引き出してくれた。(助手時代の)デビュー前から凄く能力を感じていた馬。ツメの不安も今はなくなり、力を出せるようになった。硬いところがある馬なので(日曜未明までの)雨は、恵みの雨だったと思います」
全4戦で行われるサマーマイルシリーズは1戦目の米子Sに続く2勝目。合計20ポイントで、2位アンドラステ11ポイントを離し、サマー王者に大きく前進した。同師は「サマーマイルは意識してませんでしたが、何とか重賞を獲らせてあげたいと思っていました。いったん放牧に出し、次に備えたい」とご褒美の夏休みを進呈。田辺は「まだフワフワしていて、もっと頑張れそうという中で勝ち切ってくれた。強い相手でもやれる感じがする」と全てのギアを出し切ってないパートナーに成長の余地を感じていた。秋の気配も漂い始めた越後路での大収穫。ロータスランドには実りの秋が待っているはずだ。
◆ロータスランド 父ポイントオブエントリー 母リトルミスマフェット(母の父スキャットダディ)牝4歳 17年1月31日生まれ 栗東・辻野厩舎所属 馬主・小林英一HD 生産者・米国Dr.Aaron Sones&Dr.Naoya Yoshida 戦績10戦5勝 総獲得賞金1億1224万4000円。馬名の意味は「桃源郷」で出典はホメロス「オデュッセイア」。
▽サマーマイルシリーズ得点状況 1位ロータスランドを逆転できるのは、2位アンドラステが最終戦の京成杯AH(9月12日、中山)に出走して1着の時のみ。