【中山牝馬S】スルーセブンシーズ 5度目で重賞初制覇 ルメール 急死ハーツクライにささげる勝利
2023年03月12日 05:00
競馬
馬群の外々を回る黄色の帽子の勢いが違う。4角から一気に捲り、先行勢をのみこむ。「中団からマイペースで徐々に上がっていくと手応えが凄かった。息、フットワークも良かった。直線に向いてからも凄い脚を使ってくれた」。鞍上のルメールが右ステッキで合図すると、食い下がるストーリアを楽々と1馬身1/4突き放してみせた。
ルメールにとっても特別な1勝。「一生忘れないチャンピオン」と語るハーツクライが9日に急死。同馬と共にディープインパクトに土をつけた05年有馬記念が、自身にとってJRAのG1初制覇だった。「あれが全ての始まり。ありがとうと伝えたい」。訃報を伝え聞いてから最初の開催日。その有馬と同じ黄色の帽子で中山競馬場のゴール板を先頭で駆け抜けた。
次走は未定も、尾関師は「時計が速い芝がどうかと思っていたが杞憂(きゆう)だった。芯が入ってパフォーマンスが上がっている。(所属クラブの規定で6歳春で引退のため)あと1年ですから、大きいところに挑戦したい」とG1奪取に意欲満々。ルメールも「ゴール地点でも余裕があったし楽勝。今より上のクラスに行けると思う」とポテンシャルに太鼓判を押した。3歳時に、はね返されたG1の壁を越える時が近づいている。
◆スルーセブンシーズ 父ドリームジャーニー 母マイティースルー(母の父クロフネ)18年4月8日生まれ 牝5歳 美浦・尾関厩舎所属 馬主・キャロットファーム 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績11戦4勝(重賞初勝利) 総獲得賞金1億264万8000円 世界中での活躍を願い、英語で「7つの海を越えて」と命名。